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海外教育Navi 第19回
〜出国・帰国時期にともなう子どもの生年月日の注意点〜〈前編〉
記事提供:『月刊 海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)
- 2019年1月1日
海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団に所属するプロの相談員たちが一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。
Q.出国や帰国の時期によっては子どもの生年月日に注意しないといけないと聞きました。どういうことでしょうか?
はじめに
日本の学校は4月1日に始まり、翌年の3月31日に終了します。これに対して欧米では9月から始まり翌年の6月に授業が終了、7月、8月は夏休みになるというのが一般的です(南半球では1月末に開始、12月終了が多い)。
これに伴い、就学する基準となる日もさまざまです。日本では4月1日を学齢(学年)の基準日にしていますが、欧米では9月1日を基準日にしたり、12月1日を基準日にしたりしています。たとえばオーストラリアのニューサウスウェールズ州では8月1日を基準日にしています。
このように我が国と諸外国での学年の開始時期や学齢基準日が異なることによって、日本から海外の学校に入学したり編入したりする場合に日本での学年とずれが出てくる可能性があります。これは日本に帰国した場合にも起こり得ることですので注意が必要です。
以下、事例を挙げて説明したいと思います。
現地校に入学・編入学する際の学年について
上述のように日本では、新年度(学年開始)は4月1日より始まり、 学年も4月1日における年齢で決まってきます。
これに対して、たとえばアメリカでは8月下旬から9月上旬に新学期が始まり9月1日における年齢で学年が決まるのが一般的ですので、日本の学年と比べると、半年ほど学年のずれが生じることになります。
たとえば日本で2年生の9月1日から4月1日生まれの子どもが5月にアメリカに行くと6月終了までは1年生で、9月(州によっては12月)になって2年生に進級することになります。一方4月2日から8月31日生まれの子どもは日本の学年より1年上の学年に繰り上がることになります。
とはいえアメリカの場合は、学年の基準日がかならずしも新学年の開始日と一致しません。
現在、アメリカでは9月1日を基準日として、8月下旬から9月初旬までの時期に新学年が開始される州が多くなってきていますが、まだまだ統一されていません。また一つの州の中においても学区域ごとに違う場合があるので注意が必要です。
日本人が多く在留するニューヨーク州においては、12月1日を学年の区切りとしています。11月生まれの子どもは、その年の9月から新しい学年になることになります。しかしながら、ニューヨーク市では12月31日を学年基準日にしている学区域もあり、隣町から転入してくると学年が変わってしまうケースもあるのです。
一般的には、諸外国の学年開始時期は9月で、学齢(学年)も9月1日を基準にしている場合が多く、イギリスやドイツ等のヨーロッパ諸国、インターナショナルスクール等はほぼこの基準に従っています。しかしながら南半球の諸国においては年度開始時期にずれがありますのでご注意ください。
なお、海外においては年齢と学年の一致にこだわらないケースがままあります。これは子どもたち一人ひとりの能力に合った教育をするという考えからきているものです。入学や編入を希望する学校で、語学力の関係から1年学年を下げるように言われることも少なくありません。
→「第20回 〜出国・帰国時期にともなう子どもの生年月日の注意点〜〈後編〉」を読む。
海外子女教育振興財団教育相談員
熊谷 勝仁
1971年から東京都の公立小学校に勤務し、北京日本人学校やハンブルク日本人学校への赴任を経験。帰国後は教頭、校長、さらに東京都教育庁人事部管理主事を務めた。2008年から新渡戸文化学園で校長・理事、11年から明星学園理事、帝京大学教育学部客員教授を歴任し現在に至る。
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