日本の障害年金(Disability Pension)について〈前編〉

文&写真/蓑田透(Text and photo by Toru Minoda)

現在、日本国外に居住している人で、以前日本の年金に加入して保険料を払っていれば、たとえ短期間の加入でも老後の年金をもらえることはすでに紹介しました。今回は、心身に障害がある場合に支給される障害年金についてのお話です。

障害年金制度は以前から広くPRされてないこともあって認知度も今一つでしたが、最近では高齢化やストレス社会が引き起こす精神疾患による障害者の増加が原因で、利用者も年々増え続け、2016年には約200万人※1が利用しています。今回は前編として、対象者や障害の状態、受給額などについて、次回の後編では受給するための支給要件や手続き方法について紹介します。

対象者

障害年金は、年金加入者(原則20歳以上)が老齢年金の受給開始年齢(65歳)に達する前や、65歳以降でも老齢年金の受給額が少ない場合などに受給できます。また、20歳前に障害となった場合でも、厚生年金加入者や一定の条件を満たしていれば受給できます。

後編で詳しく説明しますが、普段から年金に加入し、保険料を納付していないと障害になった際に受給できません。学生など経済的に保険料を払えない人は、保険料納付の免除制度を申請することで対応できます。海外居住者でも、支給要件を満たしていれば日本の障害年金を請求し、受給することができます。

障害の状態

対象となる障害は、視力・聴力の障害、肢体の障害、内臓疾患(心臓疾患、がん、糖尿病など)、精神障害(統合失調症、うつ病など)となります。精神障害が対象になることはあまり知られてないのですが、実はこの精神障害による申請が、最近かなり増えてきています。

障害年金を受給するには請求手続きを行って審査を受けるのですが、審査基準として、ある程度症状が重いことが必要です。一つの目安としては、働けない状況(軽作業を除く)にあるかどうか、という点が上げられます。働けなければ収入を得られないので、国が生活をサポートしてくれるわけです。

障害年金の種類、等級、受給額

種類としては、サラリーマンや公務員が加入する厚生年金(障害厚生年金)と、それ以外の人(自営業者、主婦など)が加入する国民年金(障害基礎年金)があり、障害の度合いによって1級から3級に分けられます(国民年金は1・2級のみ)。1・2級の障害厚生年金受給者は、障害基礎年金と両方を受給できます。

障害年金受給額(月額)

備考
障害厚生年金は加入年数(ただし最低25年を保障)、報酬額により決定。上記の金額(1・2級)は平成28年度障害年金受給者の平均額※2。3級は最低保障額。

また障害等級については、下記が一つの目安となります。
1級:他人の援助がないと日常生活ができない
2級:ある程度他人の援助がないと日常生活ができない
3級:働くことができない

こうした級数を判断するのは、医師の診断書を元に日本年金機構が決定を行います。障害の内容や認定基準については、日本年金機構のウェブサイト※3で確認できます。ただ、ここ数年の傾向として、日本年金機構の審査基準が厳しくなってきています。今まで受給していたにもかかわらず、更新手続きの際に打ち切られたというケースが発生しており、新聞やネットでも取り上げられています。

障害年金はライフプランのリスク対策

いかがでしょうか? 年金のなかでも老齢年金は、一定の年齢に達すれば、また遺族年金は自治体に死亡届を提出すれば、日本年金機構や自治体から年金申請手続きの案内が届くので(海外居住者で住所変更届を日本年金機構へ提出していない場合は届きません)、対象者はその案内に従って手続きすることができます。

しかし、障害年金についてはそうした案内が送られることはなく、障害者側から請求しなければ手続きを進めることはできません。そのため本来障害年金を受給できるのに、知らないために「請求漏れ」の人が少なくありません。障害年金についての知識をつけておくことは、ライフプランにおけるリスク管理としてとても重要です。

なお、海外居住者が申請手続きをする場合、日本国内居住者に比べて提出書類の準備がやや難しいです。直接日本年金機構に問い合わせるか、社会保険労務士などの専門家へ相談することをおすすめします。

次回は、障害年金の受給要件や手続き方法について紹介します。

※1、※2:厚生労働省「平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より
※3:障害の内容や認定基準に関するサイト(リンク)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html

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蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、介護・葬儀・相続など日本在住の老親のサポート)を行う。

●豊富な実績に基づくていねいなサポートで
ひっきりなしに持ち込まれるお客様からの国際手続きに関する多種多様なご依頼、ご相談(お悩み)を断り切れず休日返上で対応しているうちに、気がつけば(年金、日本帰国といった当初の事業以外の)あらゆる分野のノウハウを備えたオールラウンドコンサルタントに。当社で対応できないケースでも、的確な解決方法や提携先の他分野専門家を紹介します。

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