ミールキットはEコマースのトレンドに乗るも苦戦が続く

多忙な共働き世帯では、食事を用意する時間は短くしたいが品質は犠牲にしたくはない。多くの人にとって、最善の解決方法はミールキットであり、業界では伝統的な家庭料理に代わる健康的で便利な代替品として宣伝してきた。

リサーチ会社のPackaged Factsは、アメリカのミールキット市場は2018年に31億ドルに達し、2023年までに55億ドルに上昇すると予測、年平均成長率(CAGR)は12.2%になると発表していると市場調査会社イーマーケターが報じている。

便利で時間が節約できることはとても魅力的に見られている。消費者動向リサーチ会社のBizrate Insightsによると、ミールキットの定期購入アプリ利用者数は、モバイル端末ユーザーの6%に達しているという。利用者は男性よりも女性が多く、18歳から34歳の世代と35歳から54歳の世代が特に多い。しかしミールキットの定期購入利用者は以前考えられていたほど魅力を感じていないかもしれない。

数年前は多くのスタートアップ企業がこの分野に着目して参入、多額のベンチャー資金を集めて顧客獲得を目指した。割引料金を提示して顧客を獲得するのは簡単だったが、このモデルでは多くのスタートアップ企業にとって継続は難しいことがわかったという。

2018年のMarket Force Informationの調査によると、アメリカの食料品購入者の間で最も利用されているミールキットサービスとしてHelloFreshは全体の38.8%で、Blue Apronの34.7%を僅かに上回っている。次いでHome Chefが3位で9.3%、他の企業は3.1%以下のシェアとなっている。多くのミールキット提供会社が資金提供を受けたが生き残る余地はほんの一握りしかないようだ。

なぜ、当初のような高い期待を維持できなかったのか。マーケット・フォース・インフォメーションによると、これらのサービスを使わなくなった利用者が挙げた理由の中で一番多かったのは利用金額が利便さに見合っていないということだった。割引料金期間中は利用するが、定価料金になったところで魅力が半減するようだ。また、多くの利用者にとって、ミールキットは準備のに時間がかかり、調理の手順や結局調理時間がかかり特に便利ではなかったようだ。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 2024年8月12日

    異文化同居
    Pepper ニューヨーク同様に、ここロサンゼルスも移民が人口の高い割合を占めているだろうと...
  2. 2024年6月14日、ニナが通うUCの卒業式が開催された。ニナは高校の頃の友人数名との旅行...
  3. ラブラドール半島のベルアイル海峡沿岸に位置するレッドベイには、16世紀に繁栄したバスク人による捕鯨...
  4. フェムケアの最新事情 Femcare(フェムケア)とは「Feminine」と「Car...
  5. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  6. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  7. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  8. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
ページ上部へ戻る