Webサイト運営のリスク回避!
デジタルコンプライアンス対策
- 2019年12月1日
- 2019年12月号掲載
ウェブアクセシビリティの向上
障害者用のパーキングスポットや車椅子用に広々としたトイレ、エレベーターや坂状の入口など、現在のアメリカでは障害者も生活しやすい環境を作るための法律が厳しく定められています。1990年にADA(The Americans with Disabilities Act)が認められ、すべてのビジネスはこのルールに従うことが義務化されました。そのルールが最近はWeb上でも課されるようになり、訴訟問題が増加しています。ウェブアクセシビリティに関する訴訟は2018年には2258件にも及び、前年の約3倍にも増えました。
レストランのHootersはWebサイトがスクリーンリーダーに対応しておらずに起訴され、Domino’s Pizzaも同様にAppがスクリーンリーダーに対応しておらず起訴されました。スクリーンリーダーとは、目の不自由な方がパソコンやモバイルデバイスを操作するために使用するプログラムの総称です。ユーザーは、音声がテキストを読み上げることでコンテンツ内容を把握できます。そのほかにもBURGER KING®︎やNike、Rolex、Cricket Wireless、Glossierなどもターゲットの対象となりました。歌手Beyoncéの公式サイト上でも、画像の説明が不十分と訴えられた事例があります。訴訟の対象は大手だけではありません。十分な対策を講じていない中小企業もターゲットになり得ます。
では、どのような対策が必要なのでしょうか? たとえば、目の不自由な方でもスクリーンリーダーでコンテンツを読めるようにする、画像にはaltタグを入れて画像説明をつける、動画には読み上げ可能なキャプションをつける。色覚障害の方も見やすいように色のコントラストをハッキリする、文字を大きくした時にレイアウトが崩れない、などがあります。W3C のWebサイト(https://www.w3.org/WAI/)に細かくガイドラインが書かれています。
オンライン上では無料でチェックできるツールもありますが、弁護士事務所やWeb制作会社、ウェブアクセシビリティを専門とする会社のサービスも最近では増えてきています。サービスによって金額はさまざまで、専門会社だと、Webサイトのチェックだけで7000ドルから、会社によっては1万5000ドルからという所もありました。チェックだけでは当然改善されないので、レポート内容に応じてWebサイトを変更する必要があります。その費用はボリュームや変更内容によって異なり、1000〜5万ドルまでさまざまです。一方、AIによるチェックを365ドルから行う所もあります。マニュアルチェックと比較すると信憑性がないという意見もありますが、何もしないよりはベターという考えのようです。
Miko
2001年株式会社グラフネットワーク設立。これまで手がけたWebサイトは1000 以上。ロサンゼルスでは、Web制作業務のほか飲食店の経営やプロデュースなどを経験。現在は企業や飲食店のバックエンドシステムの構築、従業員オンライン教育ツール、アプリの開発など要望に応じて提供。
http://www.graphnetwork.com
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