食育活動でアメリカに貢献
家族の絆、ヘルシーな生活をサポート
- 2020年2月5日
- 2020年2月号掲載
New Business Close Up
アメリカで新たな事業を手がける人物をクローズアップするインタビューシリーズ。今回は、昨年10月にアメリカで食育活動を行うNPO法人を設立した岩瀬昌美さんに話を聞く。

Shoku-Iku USA代表 岩瀬昌美さん
食に関心を持ったのは
こどものアレルギーから
私には息子が2人おり、次男はピーナッツアレルギー、アトピー、喘息を持っていたので、食事はできるだけ家で作るようにしていました。そうすると息子たちは、母親が仕事から帰って食事を作ってくれたから残さず食べようという感謝の気持ちを持ち、ごはんを残さず食べてくれるようになりました。そういった経緯で食育に対する関心が芽生え、2011年頃から趣味で日本食や文化を紹介する英字紙にレシピの連載を掲載し、2014年からは日系スーパーで食育クラスを開催するようにもなりました。
ある日、食育クラスに参加した息子の友達が、自分で作った鮭のおにぎりを食べた時に「こんなにおいしいものを生まれて始めて食べた」と言ったんです。アメリカ人の裕福な家庭でもレトルト食品を利用することが多く、食に対する意識が薄いのです。
アメリカでは低所得者のこどもたちのほうが肥満が多く、ヒスパニック系の小学生の50%以上は肥満体型といわれています。食の大切さを理解していない家庭が多いので、それをきちんと説明していくにはNPO法人として活動していくことが良いと思いました。日本食で健康な生活を送れるようになったら最高ですよね。
現在のアメリカでは、18歳から65歳の44%は最低賃金レベルの所得。日本食は贅沢な食材を使用しなくても、お塩を振っただけの焼き魚でもおいしいですよね。フランスパンは1本2ドルほどですぐに食べ終わってしまいますが、お米は1袋20ドルしても1カ月は持ちます。また、野菜を入れてシンプルなお味噌汁を作ればコストも掛かりませんし、発酵食品で健康的な食事を取れます。
意識してもらいたい「You are what you eat」
今は、アメリカでは日本人の「顔」がなくなってきていると感じます。アジア人だと思われると、まずは「ニーハオ」と言われることが寂しいです。日本人としてアメリカで生活するうえで、世界的に見て健康な食事といわれる日本食でアメリカ流食育を実践して、アメリカに恩返しをしていきたいと思います。日本食を取り入れた学校区が肥満問題を解決できたとなれば、目に見える貢献になるでしょう。両親もこどもも、自分の体は自分の食べた物でできているということを理解して欲しいです。食育の活動でアメリカのこどもたちの健康でヘルシーな生活をサポートし、食の大切さを伝えていきたいと思います。
NPO法人は昨年10月に認可されたばかりなので、これからです。ロサンゼルスのフードバンクやBoys & Girls Clubsなどと連携しながら、健康的な食材の説明や日本食の普及ができれば嬉しいです。
岩瀬昌美
Shoku-Iku USA for Healthy Happy and Fun Kids With Japanese Food
日系進出企業の米国展開マーケティングサポートやマルチカルチュラルでのフルサービスマーケティング、広告、PR業務をするマーケティング会社MIWを経営。2019年10月よりNPO法人を設立し、精力的に活動する。
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