【ニューヨーク不動産最前線】
不動産業の今後

ニューヨーク市の外出制限が5月28日まで延長されました。州内では感染者の少ないアップステートなどで15日から業種によって営業再開が認められていますが、圧倒的に感染者の多い市内で延長されるのは予想されていたことでした。現在決められている期限も再度延長される可能性はありますが、州の方針に従うとすれば、29日以降は業種ごとに4段階に分けて再開していくことになります。

第1段階:建設業、製造業、卸売業、一部の小売業、農業、林業、水産業
第2段階:専門サービス、金融・保険業、小売業、事務職、不動産
第3段階:レストラン、飲食サービス、ホテル
第4段階:芸術、エンターテーメント、リクリエーション、教育

となっており、不動産は第2段階のグループなので再開は早くても6月半ば、業界内では7月からという声が多数を占めています。とはいってもその間何もしていないわけではなく、いろいろとアイデアを駆使してなんとかマーケットを活性化させようとしています。

実際に会って現地を見せるショーイングができないため、バーチャルショーイングが始まっています。内見のアポイントを取ったら、その日時にブローカーが現地からフェイスブックやズームでお客さんにショーイングをするという方法です。ただし、コンドミニアムやコープは、空室であっても居住者以外の外部からの入室は禁止となっているので、この方法を取れるのは現地にセールスオフィスやレンタルオフィスがある大手オーナーのみとなります。それに、居住者がいる場合もこの方法は無理です。

あと、急激に増えてきたのは、物件リスティングに写真と並行してビデオを載せる方法です。実際に現地を見るには及びませんが、ビデオを見ることによって写真だけよりも物件の様子がよりイメージしやすくなります。ビデオならブローカーも気軽に撮影してリスティングに載せることができます。撮影や編集の技術によって完成度にもちろん差は出てきますが、この方法はコロナが収まった後でも引き続き残っていくような気がします。今のところは現地へのアクセスが禁止されているので、私は家でビデオの撮影と編集の練習をしています(笑)。

フロアプランも従来の平面図から3Dが取り入れられ、今のところは大手に限られていますがバーチャルツアーも増えています。バーチャルツアーは3Dの図面上をカーソルを移動させて部屋を移動しながら内見するものですが、これは正直言って私はまだまだ発展途上段階だと思っています。カーソルを移動させても思った通りの方向と距離に行かないとイライラするし、費やした時間の割にあまり物件の様子も分からないからです。

世の中がいくらデジタル社会になっても、不動産だけは実際に現地を見ないで決断することはできないと思います。皆さんもお分かりのように、現地に行かないと分からない匂いとか開放感とか、気のようなものがあるからです。ただ、これを機にマーケティングの方法が大きく変わることは間違いないでしょう。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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