【ニューヨーク不動産最前線】外国人による米国不動産売却に伴う連邦税(FIRPTA)

不動産を売却する際にはさまざまなコストが発生します。物件を売却した後、手元に残る金額を正確に把握することは売却後の予定を立てるのに重要です。弁護士費用や不動産エージェントに支払う金額は事前に明示されていますが、税金の全体像もざっと把握しておくといいでしょう。

ニューヨーク州では、クロージングの際に不動産譲渡税(Transfer Tax) として州には1%または1.425%(*) 、ニューヨーク市には0.4%がかかります。加えて、売主が米国非居住者外国人の場合は、通称FIRPTAと呼ばれる連邦税が源泉徴収されるのでご注意ください。FIRPTAとはForeign Investment in Real Property Act of 1980の頭文字を取った通称で、源泉徴収税を支払うのは売主ですが、支払い手続き義務は購入者にあります。実際の手続きは買主の不動産弁護士が行います。

米国非居住者が米国不動産を売却する場合に、売却から20日以内にIRS(米国歳入庁)に売却価格の10%もしくは15%(**)の源泉税を納めることが義務付けられています。ただし例外として、売値が30万ドル以下である場合はFIRPTAは適用されません。

FIRPTA税は買主が購入価格から差し引き、IRSに納めます。買主側の弁護士が手続きを行うので売主が直接関わることはありませんが、数カ月後にFIRPTAの納税証明書(FORM 8828-A)が売主宛に送られてくるので、これを大切に保管してください。翌年のタックスリターン(米国税務申告)の時に必要になります。

同時に、売主にはニューヨーク州に対しても予定納税(売却益の8.82%)が義務付けられています。これも同様に買主側が手続きを行います。

FIRPTAおよびニューヨーク州予定納税は、米国非居住者が米国不動産を売却する際にかかる税金ですが、これは適切な納税を保証するための規定です。非居住者外国人から余分に税金を徴収するものではないので、税務申告をすることによって払い過ぎていた分は還付されます。逆に不足がある場合には追加納税が必要です。

正確な金額についてはクロージング前に弁護士が計算してくれますが、物件を売ると決めたら早めに概算のコストを把握しておくと、売却後の計画がよりスムーズに実行できると思います(不動産エージェントがお伝えできるのは、全体像と仕組みについてです。正確な金額については必ず専門家のアドバイスを受けてください)。

  

(*) 売値が50万ドル以下の場合は1%、50万1ドル以上の場合は1.425%
(**) 売値が100万ドル以下の場合は10%、100万1ドル以上の場合は15%

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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