海外教育Navi 第75回
〜子どもと一時帰国中にやるべきこと〜〈前編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。


Q.日本に子どもと一時帰国しますが、その間にしたらよいことを教えてください。

お子さんやご家族にとって久しぶりの一時帰国、日本で過ごす何週間かの日々はたいへん待ち遠しいことと思います。日本に帰ったら「あれもしたい、これもしたい」という気持ちになってワクワクするものです。

では、一時帰国したときにした方がよいことを、いくつか挙げてみたいと思います。

学習面

一つ目は「学習塾等が行う模擬試験を受験すること」です。海外にいても受けられる模擬試験はいくつかありますが、開催日や、該当する学年の試験があるかどうかなど、ちょうどうまく受けられない場合もあるかと思います。夏休みに日本に一時帰国するのであれば、多くの学習塾が夏休み前から模擬試験日程を出しているので都合のよい日を選ぶことも可能になります。

このような模擬試験のなかには帰国生枠での受験に焦点を当てたものもあります。実際の試験における緊張感を味わうという意味でも、自分の立ち位置を確かめるという意味においてもたいへん貴重な機会になります。

「日本に帰ってまで試験なの?」とがっかりしないで、進路を選ぶのための情報を得る大切な機会だと捉えるようにしたいところです。

二つ目は「学校訪問」です。進学したい学校がいくつか焦点化されているお子さんにとっては、これも大切なイベントになります。

事前にアポイントを取り、実際に訪問してみると、学校のホームページやパンフレット等では伝わってこない学校の息遣いが五感を通して手に取るようにわかることがあります。また自宅から学校までの通学方法や通学時間、安全性や通学路の環境、電車の混み具合などがよくわかります。さらに学校に児童生徒がいる時間帯であれば、彼らの様子を見ることによっても学校の雰囲気を感じ取れます。先生から直接、説明してもらえるよい機会にもなります。ぜひチャンスを生かしてほしいですね。

そのほか「学校の長期休暇に合わせた学習塾の講習を受講する」という選択肢もあります。たとえば帰国生のための中学受験英語集中講座(小学校6年生)や帰国入試対策講座など多くの講習が開講されていますので、タイミングが合えばそれを受講することもできます。

リフレッシュ

次に考えていただきたいことの一つに、日本という故郷でのリフレッシュが挙げられます。学習とは直接関係ありませんが、お子さんにとって大切な時間になると思います。

たとえ日本人学校に通われているとしても、一歩外に出れば日本文化とかけ離れた環境に置かれることが多いのも海外生活です。しばらく離れていた日本の友達や親戚との触れ合いはもちろんのこと、観光も含めた日本文化に触れる体験や旅も貴重な経験になります。そのようなことが現地に戻ってからのお子さんの学習意欲を高め、学習への自信につながることになると思います。海外では味わえない日本文化に触れる旅や体験ができないか、ぜひ一時帰国される前に探しておいてください。

このような時間を通して、滞在国と日本のよさを見出していくということは、海外で生活されているお子さんの成長にとって、とても大切なことです。人とのつき合いにおいても、相手の足りないところを突くのではなく、「これもアリかな」という気持ちでまずはお互いを認め合うという姿勢を築くためにも、文化の対比をクリティカルに行う経験が大切です。

学校説明会・相談会

夏休み中の一時帰国であれば、本財団が主催している国内学校説明会に参加してみるのもお勧めです。

これは東京、大阪、名古屋の3カ所で毎年夏休みに行われるイベントで、たとえば東京では、大きなホールのフロアに各都道府県の教育委員会、多くの帰国生受け入れ中高一貫校、そのほか大学なども含め150以上のブースがつくられます。

各ブースでは、それぞれの学校の先生たちがビデオで学校を紹介したり、受験等に関する相談に応じてくれたりします。なかには過去問を配布する学校もあります。いくつかのブースを回っているうちに自分の志望が整理され、いいなぁと思う学校が見つかると思います。

※次回に続きます。次回記事は5月15日(土)に掲載予定です。

今回の相談員

海外子女教育振興財団 教育相談員
奥田 修也

ドイツのデュッセルドルフ日本人学校教諭、ベルギーのブラッセル日本人学校校長、中国の北京日本人学校校長として海外で多くの子どもたちや保護者に接した。2018年から海外子女教育振興財団の教育相談員として、渡航前・赴任中・帰国後の家族の教育に関するさまざまな相談を受けている。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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