Vol.35 白亜紀を閉じ込めた大地
ダイナソール州立公園
− カナダ アルバータ州 −

世界遺産とは●
地球の生成と人類の歴史によって生み出され、未来へと受け継がれるべき人類共通の宝物としてユネスコの世界遺産条約に基づき登録された遺産。1972年のユネスコ総会で条約が採択され、1978年に第1号が選出された。2023年1月現在、167カ国で1157件(文化遺産900件、自然遺産218件、複合遺産39件)が登録されている。

イヌワシやハヤブサなど、絶滅の危機に瀕している生物も多数生息するダイナソール州立公園

アルバータ州の南東に広がるダイナソール州立公園は、恐竜の化石が多数出土する世界的な化石の宝庫。樹木が生えていない乾燥した悪地を意味する「バッドランド」の名でも知られ、一帯は氷河期の浸食によって7500万年前の白亜紀の地層が剥き出しになり、キノコのような形の奇岩やしわだらけの岩山が広がっている。1884年、考古学者ジョセフ・バール・ティレルがこの地で初めて肉食恐竜の頭蓋骨を発掘した。また、1987年には当時19歳の少女が草食竜のカモノハシリュウの卵を発見してニュースになり、同時にふ化寸前の幼体も発見されて恐竜の研究が大きく進歩した。それ以来、アルバータサウルス、トリケラトプス、ティラノサウスルなど60種以上の化石が発見されている。60種という規模は、白亜紀にこの地に生息していたすべての恐竜を網羅していることを意味する。その出土量は世界最多ともいわれ、恐竜時代の未知なる扉を開くための貴重な資料の宝庫として1979年に世界自然遺産に登録された。

この地では今も浸食が続いており、恐竜の化石が次々と露わになっている。恐竜の生態や白亜紀の環境を解明したい化石研究家にとって最高の環境なのだ。 

ジュラシックパークの世界へ

「ブードゥー」と呼ばれる、浸食によってキノコのような形に削られた岩の柱がそこかしこに立ち並んでいる

ダイナソール州立公園では、この地の景観や恐竜について学ぶことのできるさまざまなアクティビティが用意されている。効率良く見どころをめぐりながら化石について学びたいなら、バスツアーに参加するのがおすすめ。園内のスタッフが解説するバッドランドの成り立ちのガイドを聞きながら車窓から美しい景観を眺め、露出した奇岩・怪岩の地層からはそこかしこに化石を見ることができる。ルートの異なる複数のバスツアーがあるので、事前にオンラインで予約をするか現地のビジターセンターで申し込みをするといい。

園内にはハイキングトレイルがいくつかあり、トレイルを歩きながらガイドしてくれるツアーも実施されている。化石をさらに間近で見ることができるので、ハイキングツアーは特におすすめ。フォッシル・ファインダーズ・ハイク(Fossil Finders Hike)ツアーでは化石を実際に手に取って観察することもでき、恐竜サファリを楽しめる。ツアーに参加せずに自身でハイキングトレイルを回ることも可能なので、好みに合わせてプランを決めよう。

ダイナソール州立公園に来るならぜひ立ち寄って欲しいのが、ロイヤル・ティレル博物館。ダイナソール州立公園で発掘された化石はロイヤル・ティレル博物館に持ち込まれて研究されており、現在はハドロサウルス科の恐竜の全身骨格やティラノサウルスの骨格標本など40体ほどの恐竜の骨格が展示されている。次々と発掘される化石の研究により恐竜の生態に関する新説の発見にもつながっており、今後さらなる恐竜の解明に期待だ。

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齋藤春菜 (Haruna Saito)

齋藤春菜 (Haruna Saito)

ライタープロフィール

物流会社で営業職、出版社で旅行雑誌の編集職を経て渡米。思い立ったら国内外を問わずふらりと旅に出ては、その地の文化や人々、景色を写真に収めて歩く。世界遺産検定1級所持。

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