熊谷 淳
ジャズシンガー

Text by Haruna Saito

PEOPLE SPECIAL
様々な業界で活躍中の話題の人に、過去、現在、そして未来について聞く。

NYを拠点に活動する熊谷淳さん

大学での出会いから音楽の道へ

僕が音楽を始めたのは、2007年頃。大学進学をきっかけに上京し、当時は音楽とは関係ないメジャーを専攻していました。大学の友人の一人が歌を習っていて、彼が「ブルーノート東京」というジャズ・クラブに出演するからと誘われて見に行った時、あるアーティストさんを見て感銘を受けたんです。それから歌を始めるようになり、専門学校で2年間ほど音楽を学びました。音楽活動を始めた当初は、東京でポップスやR&Bをやっていました。ある時、いとこが共通の知り合いの結婚式でジャズピアノを演奏しているのを見たんです。そこで初めてジャズピアノを聴いて「かっこいい!」と思い、ジャズに興味を持つようになりました。

ジャズとポップスの違いは、曲の作られ方や和音の組み合わせ。ポップスのメロディはシンプルにできていますが、ジャズは複雑で和音のバリエーションも多いんです。インターバル(音から音への跳躍の幅)がポップスより広かったり、半音で動いたりと細かい動きが組み合わさっているのもジャズの特徴ですね。一番の魅力は、即興で曲をクリエイトしていくところ。ポップスは決められたメロディを正しく歌えば評価されますが、ジャズは歌詞のない部分に子音を使って自分でオリジナルのメロディを作っていくところが、おもしろくもあり難しくもあるんですよ。

本格的にジャズを始めるため渡米

2013年2月頃、知り合いのジャズシンガーにロサンゼルス在住の先生を紹介してもらい、渡米を決心しました。最初は緊張と楽しみが半分半分でしたね。カリフォルニアの環境は気候がとても良く生活がしやすかったので、とても快適に過ごせました。ただ、英語のコミュニケーションは最初難しくて苦労しましたね。ジャズもアメリカに来てから本格的に始めたので、音楽と英語と両方を並行してやっていくのが最初は大変でした。

2018年1月には、ニューヨークに移住しました。ロサンゼルスで暮らし始めて3年くらいの頃、喉を壊して一時期歌えない状態になってしまったんです。発声を医学的に診てくれる先生がNYにいると聞いて、最初はメールなどで相談をしていました。その先生がワークショップをやっているということで、実際に足を運んで正しい発声を学び始め、サーティフィケイトも取得しました。その後カリフォルニアに戻り、オンラインでプライベートレッスンも受けていたのですが、徐々に直接レッスンを受けたいと思うようになりました。また、ワークショップで出会った多くのシンガーのほとんどが東海岸に住んでおり、「素晴らしいジャズミュージシャンや良い先生もたくさんいるから、ジャズを本格的にやりたいなら東海岸に来たほうが良い」という話もあり、移住を決心しました。

発音が1番大変だった

ジャズをやっているミュージシャンのなかには英語圏外出身のジャズシンガーもいますが、英語の発音に関しては日本人が1番苦労するのではないかと思います。僕は「日本人は発音が良くない」と思われたくなかったので、英語の発音の資格を取得しました。そのおかげで褒めてもらえる機会もあったし、注意されるようなこともなくなったのは一つの達成感でしたね。また発音の勉強を始めたおかげで、ネイティブの話す英語が劇的に聴き取りやすくなったこと、実際に指導できる立場になれたことが何より嬉しいです。

初のCDアルバムを10月中にリリース

10月中にリリースするCDアルバム『8.5』には、全8曲が収録されています。うち6曲はいわゆるスタンダードとされる昔ながらのジャズミュージックをアレンジしたもの。1曲は、ジャズを始めてから初のオリジナル曲を入れています。多くのジャズミュージシャンは、ジャズスタンダードをカバーしてアルバムを作るのが当たり前なのですが、このアルバムでは今までにないようなアレンジで1曲1曲を仕上げています。またカバーしたR&Bの曲も入れているので、ジャズ以外の曲も楽しめるのがポイントです。

今後の目標

近い目標でいえば、アルバムを無事にリリースしてリリースコンサートをしたいですね。良いジャズクラブでできたら嬉しいです。また、10月15〜17日にカリフォルニア・オレンジカウンティで行われるOCフェアでは、15日に出演させてもらいます。今後は有名な場所で演奏できるように、活動を広げていきたいです。

また、最近は音楽学校やプライベートで生徒にティーチングも行っています。パフォーマンスも好きですが、教えるのも好きなんです。これからいろいろな人に教えていって、「この先生に習ったら良くなる」と思ってもらえるような先生になれたら嬉しいです。

プロフィール
2013年に渡米。サンディエゴやロサンゼルスで歌手活動を始め、レッスンを受けるかたわらバーやレストランでの演奏を経験。2015年にはSD Japan Fair 2015に出演。2019年、NYにあるカーネギーホールやユダヤ教教会パーク・イースト・シナゴーグにも出演し、ゴスペルクワイアのメンバーとしても活動。今月10月15日にOC Japan Fair 2021に出演予定。

公式サイト:www.atsushi-jazz.com

CDアルバム『8.5』10月中にリリース予定!

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齋藤春菜 (Haruna Saito)

齋藤春菜 (Haruna Saito)

ライタープロフィール

物流会社で営業職、出版社で旅行雑誌の編集職を経て渡米。思い立ったら国内外を問わずふらりと旅に出ては、その地の文化や人々、景色を写真に収めて歩く。世界遺産検定1級所持。

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