堀田一海
ラスベガスシティFC・サッカー選手
Text by Haruna Saito
- 2021年10月23日
ネバダ州ラスベガスに拠点を置くサッカーチーム、ラスベガスシティFC。このチームで唯一のアジア人プレイヤーとして活動している堀田一海さんに、過去、現在、未来について聞いた。
サッカーで世界へ
サッカーを始めたのは小学1年生の時。幼稚園の頃から気づいたらボールを蹴っていたという堀田選手は、小学校に入ったらクラブチームに入ると決めていたのだそうだ。
「地元のクラブチームで中学3年生までプレーを続け、大阪市の浪速高等学校に入学してからはサッカー部に入部しました。2008年には大阪府の選抜に選ばれ、韓国で試合にも出場しました」と話す堀田選手。阪南大学に進学してからもサッカー部で活躍していたが、途中でフットサルに転向したのだという。
「フットサルはコートのサイズもボールのサイズもサッカーより小さく、跳ねにくいボールを使ってプレーをします。そのため、ボール捌きの技術や細かい動き、狭いコートでの判断の速さなどが非常に重要なんです。僕は、フットサルで培った技術がサッカーに生きるのではないかと思い、サッカーに戻るつもりでフットサルを始めました」
Fリーグ(日本フットサルリーグ)のシュライカー大阪の下部組織でプレーした後、サッカーにまた戻ってきた。
アメリカに拠点を移したのは2017年。当時、ラスベガスシティFCには田島翔選手が所属していた。彼に連絡を取ってチームの監督やオーナーに話を通してもらい、練習生としてサッカーのキャリアをスタートしたのだそうだ。
「高校生の頃に選抜で韓国に試合をしに行った時、同じアジアでもこんなにサッカーに対する考え方が違うのだなぁという事実に刺激を受けました。それで、いつか自分も海外で挑戦したいと強く思うようになったんです。アメリカを選んだ理由には田島選手がいたからというのもありますが、アメリカはスポーツで成功している国なので、将来的に考えたときにベストかなと思いました」
アメリカで苦労したこと
“走る” ということは日本もアメリカも同じだが、サッカーのプレースタイルは全然違うのだという。「日本だと細かいパスを繋いで組織的に動いていくスタイルが主流なのですが、アメリカの選手たちは個人の能力を重視しているという印象を受けました」。
もともとの骨格や体のつくりが違うため、フィジカルの面では苦労したと堀田選手は話す。「体の強さや球際の強さなどは、想像していた以上の違いがありました。ボールの奪い方などを見ていても、アメリカの選手には日本とは違うアグレッシブさがありますね。メキシコの選手も結構いて、体格は日本人と似ているんですが、体の強さは全然違いました」。日本とは異なるトレーニングが必要だと実感した堀田選手は、フィジカル面の強化を意識してウェイトトレーニングを増やし、体の使い方を工夫したトレーニングや練習を取り入れているそうだ。
生活面で何か困っている点はないか聞くと、「僕はお米や納豆が好きなんですが、ラスベガスではなかなか手に入らないので食事面では苦労しています」とのこと。もともと自分の意見ははっきり言えるほうだという堀田選手はチームメイトとの会話でも要求や主張をしっかり伝えるようにしており、コミュニケーションの面では大きな苦労は感じていないそうだ。
夢はアメリカのみならず
今現在はリーグ開幕に向けて、日本でトレーニングをしながら待機しているという堀田選手。
「僕はフォワードなので、リーグ戦が始まればまずは試合に出て、得点という形で結果を残し続けたいと思います。そのためには課題であるフィジカルの面を含めて日頃のトレーニングをしっかり行い、質の良いパフォーマンスを見せていきたいですね」
堀田選手は現在30歳。サッカー選手は20代後半〜30代前半で引退する人が多いという。「選手生命はそんなに長くないと思うので、ここ1、2年が勝負だと思っています。アメリカだけにこだわらず、ヨーロッパやほかの国でもプレーすることを視野に入れて、気合を入れていきたいと思います」。
最後に、読者に向けてメッセージをもらった。
「アメリカで頑張っている人たち、そしてこれからアメリカに来て何かしたいと考えている人たちも、行動することが大事。やれるという自信を持ってしっかり取り組んでいけば、先に繋がっていくはずです。僕もしっかり結果を残してアメリカで頑張っていきますので、これからも応援よろしくお願いします!」
堀田一海(ほったかずうみ)大阪府出身。アメリカ独立リーグ、ラスベガスシティFC所属のサッカー選手。ポジションはFW。2018年のカップ戦では優勝に貢献し、アメリカでの自身初となるタイトルを獲得した。
Instagram:@kazuumi91
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