Vol.26 地球の原点が眠る峰
カナディアン・ロッキー山脈自然公園群
− カナダ アルバータ州・ブリティッシュコロンビア州 −
文/齋藤春菜(Text by Haruna Saito)
- 2022年2月6日
- 2022年2月号掲載
世界遺産とは●
地球の生成と人類の歴史によって生み出され、未来へと受け継がれるべき人類共通の宝物としてユネスコの世界遺産条約に基づき登録された遺産。1972年のユネスコ総会で条約が採択され、1978年に第1号が選出された。2021年8月現在、167カ国で1154件(文化遺産897件、自然遺産218件、複合遺産39件)が登録されている。
北米大陸を南北に縦断するロッキー山脈は、全長約3000マイル。そのうちカナダに広がる約1000マイルの部分をカナディアン・ロッキーと呼ぶ。カナディアン・ロッキーの山岳地帯には、バンフ、ジャスパー、ヨーホー、クートニーの4つの国立公園と、ロブソン山、アシニボイン山、ハンバーの3つの州立公園が点在している。これらの公園群はまとめてカナディアン・ロッキー山脈自然公園群として、1984年に世界自然遺産に登録された。ここには湖、滝、峡谷、洞窟、温泉など、造山活動および氷河の浸食によって形成された変化に富む雄大な自然景観が広がっている。
カナディアン・ロッキーでもっとも重要視されているのが、約5億年前のカンブリア紀の地層であるバージェス頁岩。カンブリア紀といえば地球上のほぼすべてが海で覆い尽くされていた初期時代で、多種多様な生物が海中で誕生した「カンブリア大爆発」が有名だ。この時代に誕生した生物は、今現在も見られる多くの動植物の祖先といわれている。バージェス頁岩では、これまでに数多くの古生物の化石が発掘されてきた。カナディアン・ロッキーは、地球の形成および生物の進化の過程を知る重要な鍵として高く評価されているのだ。
雄大な山々をめぐる
まずはカナディアン・ロッキーの玄関口、バンフ国立公園へ。バンフ一の景勝地として知られているのが、「カナディアン・ロッキーの宝石」と称される氷河湖、ルイーズ湖だ。背後には急峻な山々とビクトリア氷河が広がり、その姿を映し出すターコイズブルーの湖はまるで絵画のように美しい。そのほかにもカナダドルのデザインに採用された神秘的なモレーン湖、隆起した山の形状が城のように見えるキャッスルマウンテン、カラスの足のような形のクロウフット氷河など、見どころは盛りだくさん。バンフの西に位置するヨーホー国立公園では、カナダ最大級の瀑布、タカッカウ滝を見に行こう。高さ1240フィートもの岩棚から豪快に落ちる豊富な水は、ヨーホー川へと流れ込んでいく。
バンフとヨーホー、そして北の拠点であるジャスパー国立公園を結ぶ約150マイルのアイスフィールドパークウェイは、北米一の絶景ドライブウェイ。道中ではロッキー山脈を代表する美しい峰々や湖、氷河など、見どころが目白押しだ。なかでもコロンビア大氷原は必見。面積約125平方マイルにも及ぶ北米大陸最大の氷原では、ツアーに参加すれば氷河の上を歩いて散策することができる。
遺産プロフィール
カナディアン・ロッキー山脈自然公園群
Canadian Rocky Mountain Parks
登録年 1984年
遺産種別 世界自然遺産
www.pc.gc.ca/en/culture/spm-whs/sites-canada/sec02h
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