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2022年4月、日本の年金制度が一部改正
- 2022年3月24日
米国在住者の中にも「すでに日本の年金を受給している」または「今後受給する予定がある」という人がいると思いますが、2022年4月から日本の年金制度の一部が改正されます。今回はその主な変更点を紹介します。
1.改正の概要
日本の年金制度は、1942年に発足後、数年に一度のペースで改正されています。今回の改正は2020年5月に決定されたもので、実際の施行(運用)が2022年4月に開始されます。変更点は以下になります。
1) 在職中における年金受給の仕組みの見直し
年金受給者が老後も働いて一定水準の就労所得があると、年金の全部または一部が停止されます。そのため年金受給者の中には働けるのに年金受給額の停止(減額)を嫌って働かない人がいます。今回はその一定水準の額が増額されたので、ある程度就労所得がある人でも年金が停止、減額されなくなります。
2) 受給開始時期における選択肢の拡大
原則65歳受給開始の年金については、本人の希望により60〜70歳の範囲で繰上げ・繰下げ請求が可能でした。今回繰下げ請求について70歳から75歳まで選択の範囲が拡大されます。また繰上げ時の減額率が下げられ選択しやすくなります。
3) 確定拠出年金における加入可能要件の見直し
米国の401(K)制度と同様のものとして日本にも「企業型」「個人型(通称iDeCo)」の2種類の確定拠出年金制度があります。今回は加入年齢の上限がそれぞれ70歳、65歳と5年拡大され、より多くの人が加入できるようになります。個人型であれば米国居住者(ただし日本国籍の人のみ)でも加入可能です。
4) 被用者保険における適用範囲の拡大(2022年10月施行予定)
日本の年金は厚生年金と国民(基礎)年金の2種類がありますが、被用者保険とは厚生年金のことです。厚生年金は通常フルタイムで働く正社員(正職員)の会社員や公務員が加入するもので、正社員以外の人(非正規社員、パートなど)は一部の人のみ加入が認められていました。今回その加入可能な範囲が拡大され、より多くの正社員以外の人も加入できるようになります。
2.年金の繰上げ、繰下げの改正について
上記の改正点のうち、米国在住者でも直接のかかわりが高そうな「3) 受給開始時期における選択肢の拡大」についてもう少し詳しく説明します。
公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、現行制度では希望すれば60〜70歳の間で受給開始時期を自由に決めることができます。ただしその場合、年金受給額が一定の割合で増減します。今回の改正点を現行と比較する形で記載します。
A)繰上げ受給
・65歳より早く受給開始した場合
↓
年金額は減額(1月あたり▲0.5%、最大▲30%)
B)繰下げ受給
・65歳より後に受給開始した場合
↓
年金額は増額(1月あたり+0.7%、最大は70歳時+42%)
【改正後】
A)繰上げ受給
・65歳より早く受給開始した場合
↓
年金額は減額(1月あたり▲0.4%、最大▲24%)
B)繰下げ受給
・65歳より後に受給開始した場合
↓
年金額は増額(1月あたり+0.7%、最大は75歳時+84%)
このように①繰上げについては減額率が若干下げられることで生涯年金受給額を増やす、②繰下げについては老後も働いて収入を得ることを想定した年金受給の先送りを促す、というものであり、国として人生100年時代に備えた制度設計であることが伺えます。
3.繰上げ・繰下げ受給時の注意点
●繰上げ受給、繰下げ受給とも、一度請求手続きを行うと増減された年金を生涯受給することになり変更することはできません。特に繰上げ受給については、長生きすると繰上げしなかった場合と比べ生涯の累計受給額が少なくなるので、十分な検討が必要です。
●繰下げ受給については、受給額が増える半面、繰下げ時の受給開始年齢までの収入確保が必要です。この期間に収入がなく預貯金を大きく取り崩すようであれば繰下げ受給する意味がありません。
●66〜75歳で年金請求する場合、繰下げをしない選択もあります。たとえば70歳時に請求する場合、繰下げをせず、本来の65歳からの受給を選択すれば、過ぎた65〜70歳までの分は過去訴求分として一括支給され、70歳からは増額されていない本来の年金額が支給されます。ただし過去訴求できるのは5年までとなります。
いかがでしょうか? 人生100年時代、自分のライフスタイルに合った効果的な受給方法を考えてみて下さい。
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