人工知能(AI)の歴史と未来 雇用・労働への影響

人工知能が人類を凌駕する日「シンギュラリティ(技術的特異点)」が、2045年にやってくる ──。

米国の未来学者であり、AI研究の世界的権威 レイモンド・カーツワイル博士は、これを「2045年問題」として提唱しています。

まさに「ターミネーター」や「マトリックス」で描かれた、機械が人間を支配する世界が、足音立ててやって来ているという訳です。

AIが仕事を奪う」という議論を耳にしたことがある方も多いはず。この目覚ましい技術革新が、我々の雇用・労働に与える影響とは。既に到来しているAI時代の、これまでとこれからを見ていきましょう。

1. AI(エーアイ)とは

AIの定義

AI(Artificial Intelligence│人工知能)とは、人が実現するさまざまな知覚や知性を、コンピューターでで人工的に模倣・再現する技術。対義語は、NI(Natuaral Intelligence│自然知能)で、人間や動物などの自然が生み出した知能。

尚、参考までに。「ロボット=AI」という認識をお持ちの方も多いかと思いますが、決してそうでは有りません。
ロボットとは、あらかじめプログラムされた動作のみを正確に行う機械。一方AIは、未知の課題や問題に直面しても自身で答えを導き出せる、つまり学習・推論・判断・応用能力を備えたシステムを指します。

例えば「ターミネーター」内で描かれているのは、AI搭載型のロボットと表現するのが的確です。

AIの歴史

現在世の中は、「第3次AIブーム」と呼ばれています。以下の年表で歴史を辿ってみましょう。

2. AIが仕事に与える影響

「10~20年後、日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能になる」と、野村総合研所は英オックスフォード大学との共同研究結果を2015年に発表。これを機に、「AIが仕事を奪う」という危機意識と反感が爆発的に世に広がりました。

しかし、テクノロジーの発達をネガティブに捉える必要は決してないのではないでしょうか。

19世紀の産業革命により、馬車の御者は自動車の運転手に職を奪われました。20世紀に入りFAXやパソコン等のオフィスの機械化が進んだことで定型的な作業は激減し、ホワイトカラーの職種が急増しました。

人類はこれまでも、テクノロジーの導入に順応し、ワークシフトを幾度となく繰り返してきたのです。

AIに代替される可能性が高い職種

感情に左右されず機械的な単純・ルーティーン作業を担当する職種が該当します。スピード感をもちつつ、正確に作業を行いヒューマンエラーを防げるという点で、AIはこれらの職種で人間よりもはるかに良いパフォーマンスを出すことができると考えられています。

  • 受付
  • 運転手
  • 電話オペレーター
  • 販売員・キャッシャー
  • スポーツ審判
  • 事務員(一般・医療・行政)
  • 会計・経理・財務
  • 金融機関の融資担当・クレジットアナリスト
  • 不動産ブローカー など

AIに代替される可能性が低い職種

発想力・想像力を持ち、臨機応変に対応する能力が求められる作業は、AIは不得意とします。よって、状況に合わせた柔軟な対応が必要な職種や、ゼロからイチを生み出すような職種は、人工知能が発達したとしても失われないだろうと言われています。

  • 営業
  • 教師
  • 弁護士
  • デザイナー
  • バーテンダー
  • 心理カウンセラー
  • コンサルタント
  • ライター

AIの台頭により新しく生まれる職種

米国経済雑誌Forbesは、AIの登場により58億以上の新しい職種が創出されると発表しています。未来の求人情報、実に興味深いですね。

  • 人工知能事業開発責任者
  • データ調査官
    IoT機器などが収集したデータを調査・分類し、企業や組織に対してコンサルティングを実施する 職。
  • CTO(最高信頼責任者│Chief Trust Officer)
    仮想通貨など不正取引疑惑を払拭し、誠実な経営を証明する職。
  • ESO(倫理的調達責任者│Ethical Sourcing Officer)
    テクノロジーの進歩の中、人間ならでは心理(倫理的指針)を調整する職。
  • フィットネス・コミットメント・カウンセラー
    IoT機器などで記録、収集、分析した個人の活動記録データを基に、健康に関するカウンセリングを実施する職。
  • 人間と機械の協働責任者
    AI機械と人間それぞれの強みを見極め、生産性が最も高くなるようなビジネスプランニングを担当する職。
  • エッジ・コンピューティング專門家

3. AIにまつわるIT用語集

最後に、現代のAI時代を支えるキーワードをいくつかご紹介します。

  • ビックデータ
    3つのV(量 Volume, 種類 Variety, 処理速度 Verocity)から成る巨大なデータ群。明確な定義はなく、「SNSやブログへ投稿される文章量や画像」「交通ICカードの乗車履歴」等、現代の”情報爆発時代”におけるありとあらゆるデータを指す。
  • 機械学習(マシーンラーニング│Machine Learning)
    ビックデータを基にパターンやルールを発見させ、判別や予測に利用する技術。例えば犬や猫の画像データから「あれが犬」「これが猫」と判断できるように学習することなど。
  • 深層学習(ディープラーニング│Deep Learning)
    機械学習の手法のひとつ。データを分析するうちに判断基準そのものを自分で作成し、それに基づいてさらに学習を繰り返す。従来の機械学習などではできなかった複雑なデータ処理を行うことも可能。
  • BI(ビー・アイ│Business Intelligince)
    企業が蓄積している膨大なデータを収集・分析・可視化し、経営において積極的に役立てる経営手法。またそれにまつわる技術を「BIツール」という。AIはコンピュターが意思決定までを行うのに対し、BIツールはその決定権を人間に投げ返すというところが両者の大きな違い。
  • IoT(アイ・オー・ティー│Internet of Things)
    我々が生活で使用するあらゆるモノがインターネットで接続された状態を指す。例えば、部屋に置いてある家電製品の稼働状況に関するデータが逐一集積され、インターネットを通じてクラウド上にあるサーバーへ送信・蓄積される状態。ここで集積されたデータが、ビックデータの一部として活用される。
  • RPA(アール・ピー・エー│Robotic Process Automation)
    ロボットによる業務自動化を意味する言葉。「自動化」という視点でAIと混同されることも多々あるが、RPAは業務を自動化するシステム=つまり、人間で言う手足であるのに対して、AIは頭脳を指す。

AIやロボット技術を核とする「第4次産業革命」を迎えている現代の我々。テクノロジーとうまく共存する為、常に変化に目を向け、適応していくことが大事なのかもしれませんね。

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