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【ニューヨーク不動産最前線】不動産取引における差別法
- 2023年7月8日
米国では不動産取引において差別が法律で厳しく規制されています。1968年に制定されたFair Housing Actという法律では、連邦レベルで差別の対象となるクラスとしてcolor、race、religion、national origin、sexが定められました。その後、disabilityとfamilial statusも追加されました。
これらの基本的なクラスに加えて、州や地域ごとにさらに差別から保護されるクラスが定められています。ニューヨーク市は厳格な規制地域で、NYC Human Rights Lawという法律では、Sexual orientation、Gender identity or expression、Age、Creed、Lawful source of income、Marital status、Military statusが追加されています。
日本で生活していると、普段何気なく口にする言葉や質問が、現地では大きな問題になることもあります。例えば、日本人のお客様からよく「オーナーさんは何人ですか」と聞かれますが、実はこの質問に答えることは、上記の国籍や人種に基づく差別に抵触するため、エージェントとしては答えてはいけないのです。
違反がないかどうかを確認するために、調査員が抜き打ちで客のふりをしてエージェントに連絡したり、オープンハウスを訪れたりすることもあります。彼らは保護対象クラスのふりをしてエージェントに接触し、受け答えや接客態度を調査します。違反が見つかると、場合によっては実際に不動産免許を取り上げられるほどの厳しい罰則が科されます。
さらに、ニューヨーク市では今年の5月末に個人の身長と体重が差別保護クラスに追加されました。この法律は11月から施行されます。常識の範囲内でという曖昧な日本的考え方ではなく、法律で明確に定めるところはいかにもアメリカ的ですが、正直なところ私たちエージェントにとってはやりすぎと感じるところもあります。ちなみにこの法律はプロである不動産業者だけでなく、個人の不動産オーナーにも適用されます。
これらのように、差別保護対象のカテゴリーが多すぎて、私たちエージェントは常に情報のアップデートをしているものの大変な課題です。もちろん、差別をしないことが当然の前提ですが、法律で細かく規定されていることにより、コミュニケーションが円滑に進まない場合もあります。言動を誤ると訴えられる可能性もあるため、慎重さが求められます。
最後に、差別の対象にならないカテゴリーを挙げておきますが、ペット不可や喫煙者不可は問題ありません。
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