第155回 自動車保険:ビジネスに車を使う場合

文/安岡忠展(Tadanobu Yasuoka)

 個人名義の車をビジネスに使っている人も多いと思います。個人の車をビジネスに使う事には何の問題もありませんが、それに対応可能な保険に加入しているかどうかは別問題です。個人用自動車保険は本来、個人用に使用する事を目的としていますので、ビジネスに使う場合にはそれに対応できる保険に加入する必要があります。加入している保険で対応可能かを確かめてください。

ビジネス目的で使用した場合に、保険でカバーするには2つの方法があります。個人用保険で「Business Use」と登録する方法と、Commercial Auto Policy(商業用自動車保険)に加入する方法があります。

個人用保険でBusiness Useとして使えるのは、基本的に車を個人目的で使用し、まれに商用で使う場合です。車をどのような目的で使うかによってこのBusiness Useとして認められるかどうかが決まります。保険会社によって規定が違うので、使う目的を詳しくエージェント、または保険会社に説明し、Business Useとして加入できるかどうか尋ねてください。この方法ですと、通常の保険料より10~25%割高になります。

商業用自動車保険は、商用を目的とした保険なので個人用保険よりもより充実した内容で加入できます。補償額は個人用保険よりも高く設定できるので、自動車事故でビジネスが訴えられるような事になった場合にも対応可能です。さらに、Hired Auto(車をレンタルした場合の保険)や、Non-Owned Auto(従業員が自分の車を商用に使った場合の保険)も追加する事ができます。

では、どういった場合に個人用保険のBusiness Useで加入して、どういった場合に商業用にすれば良いのでしょう? 個人経営のビジネスで自家用車を個人とビジネスの両方で使う場合や、営業担当で自家用車を会社で使う場合などは個人用保険のBusiness Useでも可能です。繰り返しますが、使用目的によって個人用では加入できない場合がありますので必ず確かめるようにしてください。

大きな物や人を運搬する場合、車が会社名義の場合、自分以外の別の従業員が運転する場合、連邦、州、市などへの申請が必要な場合、大型車で高い補償が必要な場合などは確実に商業用保険にすべきです。より高い補償が必要な場合はアンブレラ保険を追加する事も可能です。自家用車をビジネスに使っている人は、加入している保険に問題がないかを一度確認してみましょう。

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安岡忠展 (Tadanobu Yasuoka)

ライタープロフィール

全ての保険を取り扱う総合保険代理店「ダイワ保険代理店」代表。顧客の保険代理人として「お客様にとってベストなプラン」を提供する。目標は「全ての保険を取り扱うことでお客様のニーズを把握し、生涯のパートナーとしてお付き合いいただくこと」。

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