アメリカの法律最前線

企業法

契約上のトラブル

契約に関するトラブルは企業間のビジネス上の取引だけではなく、事務所やアパートのリース契約、個人事業主の売買契約、雇用契約、個人レベルでのお金の貸し借りなど多岐にわたります。このようなあらゆる場面で使われる契約書は、本来であれば契約上の誤解や問題が生じることを防ぐために作成されるものですが、曖昧な表現や言い回しによって複数の解釈の余地があった場合、のちに大きなトラブルに発展します。

法的に有効な契約書の重要性

契約書が法的に有効と認められるために記載されていなければならない条項は州法によって明確に決められており、その内容は契約の目的によって異なります。知人にお金を貸す場合に覚書を書いて署名をしたり、インターネットを検索して見つけたテンプレートを使って契約書を作ったり、メールのやりとりが残っていたりしても、何かのトラブルが生じた時にはそれが何の役にも立たないことは珍しくありません。また、当事者間で決められた契約違反のペナルティが法的には到底実現不可能なものである場合も多くあり、逆に法的に有効な契約書がある場合には、そこに記載のない口約束はよほどのことがない限り無効と見做されます。

日本人がアメリカで契約をしたりビジネスを展開したりする際には英語で書かれた契約書に署名をする場合がほとんどですが、その内容を十分に理解せずに署名をしてしまうことは大きなリスクを負います。契約を途中解除する際に課せられているペナルティが一般的なものとは違い契約相手により有利なものとなっている場合や、争いが生じた際に他州の法が適用されることになっていて他州で弁護士を探す必要に迫られる場合などは、解決のために多大な費用がかかる可能性も生じます。

弁護士の役割

弁護士は常に自身の雇用主の代理人として雇用主の利益を守ることをその責務としており、多くの場合、契約当事者双方の中立の立場に立っているわけではありません。そのため、契約相手の弁護士によって作成された契約書は多くの場合相手側にとってより有利となる条件が記載されています。安易に契約書に署名をする前に、信頼できる弁護士に依頼して内容を確認する、または契約条項の作成を依頼するなどしてトラブルを未然に防き、万が一トラブルが生じた際にも迅速なサポートを受けることが大切です。

契約前に弁護士料を支払うことをためらったために後でトラブルとなり、契約書の作成やレビューにかかる費用の数倍の費用をかけて慌てて弁護士に依頼をするケースは後を絶ちません。以前からの知り合いである、一緒にビジネスをする予定がある、これまでにも同様の取引をしてきた、契約内容を更新する際に口約束をした、などの理由できちんとした契約書を作成せずにお金のやりとりをしたりビジネスを始めたりすることは、大きなトラブルの元です。取引を円滑に進めるためにも、専門家に依頼して法的に有効となる契約書を作成し、内容をきちんと把握することは非常に重要です。

取材協力
Kimura London & White LLP
木村ジョシュア
japanesespeakingattorney.com/



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