ハイチュウの成功とアメリカ市場進出の挑戦
アメリカのビジネスは今

日本からアメリカへと事業を拡大したMorinaga Amerca,Inc.のCEOを務める河辺輝宏さんに、アメリカ市場におけるスナック菓子の新ブランド普及に挑む意義と課題についてお話を伺った。

アメリカ市場進出

森永製菓は2008年、ハイチュウを中心にアメリカ市場へ本格的に進出しました。もともとハワイで販売されており、その独特な食感と多様なフレーバーが地元の人々に受け入れられました。ハイチュウはセブンイレブンやサムズクラブで好調に売れ、その成功をもとに、西海岸から全米へと販路を拡大しました。現在ではハイチュウは約80%のカバー率を達成しています。アメリカでは、特に17歳以上の層に人気があり、日本のターゲット層とは異なります。しかしその違いを理解し、対応しながら地道な販促とブランディングにより、アメリカの代表的なスーパーマケットであるウォルマートやコストコでも取り扱われるようになりました。

2023年6月にNew York ,Manhattanで4日間限定でオープンしたHI -CHEWのPOP UP STOREの様子。

新製品Chargelの挑戦

2022年には、新たなジェルドリンク「Chargel」を発売。日本で「森永inゼリー」として親しまれているこの製品は、アメリカではまだ馴染みのないカテゴリーにあたります。しかし、その独特の特性を活かし、マラソンや自転車競技のイベントでのサンプリング活動を通じて徐々に浸透しています。また、eコマースでも販売が伸びており、今後リーディングカンパニーを目指してさらなる展開を計画しています。
森永製菓は、ハイチュウを通じてアメリカ市場に確固たる地位を築きつつあり、今後も「Chargel」を含む新たな製品でさらなる成長を目指し、リーディングカンパニーとしても地位を確立していきます。

米国ハイチュウのブランドマスコット”Chewbie”がMorinagaAmerica,Inc.に仲間入り。Chewbieがハイチュウの持つ楽しさをお客様に発信。

アメリカ市場の課題

アメリカでビジネスを展開する際の課題として、文化や消費者の価値観の違いだと思います。
日本製品の品質は素晴らしいものの、その繊細さや特異性がアメリカの消費者にとっては必ずしも理解されないことがあります。
日本人とアメリカ人の商品の受け止める感覚が全く違うので、海外仕様に変えていくことが、今後いろいろな会社、企業、経済が発展していく一つの鍵になると思うけれど、やはり難しいものだと思う。

アメリカ進出アドバイス

日本企業がアメリカ進出で成功するためには、「辛抱強く続けること」と「現地の消費者の声に耳を傾けること」が重要です。日本は国内市場に依存しがちですが、グローバル視点と現地適応のバランスが求められます。特に食品業界では、日本の強みや企業の歴史・哲学を現地にしっかり伝え、発想はグローバルに持って、ローカルに根ざした活動が成功の鍵です。

プロフィール

Morinaga America, Inc.
河辺輝宏
1991年 森永製菓株式会社に入社。日本でセールスを経験し、本社で国内と海外の営業担当として勤務。海外勤務は、2010年以降シンガポール、アメリカ(カリフォルニア)、インドネシア、タイを経て、2022年1月から2度目のアメリカ勤務として、Morinaga America Inc. のPresident CEO就任。2023年から米国事業総代表として現在に至る。
◾️ホームページ:https://morinaga-america.com/

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