日本の年金受給者が生涯行う手続き~覚えておくと便利な手続きメモ~

外務省が発表している「海外在留邦人数調査統計」によると、米国を中心に海外(日本国外)に居住する在外邦人の数は2024年の集計で約129万人となっています。その数は2020年をピークに少しずつ減少しているものの、ビジネスや経済の国際化もありその数は依然として多い状況です。

今から10~15年前までは、海外居住者でも以前日本で加入していた日本の年金(厚生年金、国民年金など)について、たとえ短期間の加入であっても受給できるということを知らない人が少なくありませんでしたが、最近では多くの人がこうした情報を知っているようです。その理由として、2017年に年金の受給要件としての過去加入期間(保険料納付期間)が25年から10年に短縮されて年金支給対象者が増えたこと、厚生労働省や日本年金機構、各専門業者などによるメディアやインターネット経由での情報配信の効果と思われます。一方で海外居住者の場合、年金の請求手続きについては、日本国内居住者と比べ提出書類など難しい点があり、容易に手続きできないケースがあるようです。私どもの事務所へも年金の受給権はあるものの、必要書類をそろえることができないため手続きができない、といった相談があります。この点については、年金の手続き方法が日本国内居住者用に設計されていて海外居住者にとってやや不便なこと、海外居住者への対応方法に関する情報共有が日本年金機構内部で十分に行われていない点が原因として考えられます。

今回は海外居住者が日本の年金を受給するに際して、申請し受給し始めてからどういった手続きが必要かを紹介します。年金は生涯にわたって受給するものですから、長い人で30-40年受給します。この間どのような手続きを行う必要があるのか?すでに受給している人も、これから年金を申請する人も参考にしてください。

1.海外年金受給者が行う主な手続き

下記は、海外(日本国外)年金受給者が年金請求可能年齢になってから亡くなるまでに行う主な手続きをわかりやすいよう図と一覧表にしたものです。一般的な年金である老齢年金と遺族年金の受給者を対象にしていますが、その他にも障害年金、各種加算金などがあり、請求手続き時期など異なります。

手続きのうち①~④は年金運営団体(日本年金機構や共済組合など)から郵送で手続きの案内通知が届きます。ただし海外居住者の場合、海外への転出届を提出していない人が多く、通知が届くことはあまりないようです。また②、③について手続きを行わずに放置していると、受給中の年金が停止されます。

※1:60歳から繰上請求が可能。また65歳以降の請求も可能。遅れた分は訴求分として(過去にさかのぼって)受給される
※2:対象は米国居住者のみ。提出しない場合、年間114万円を超えた分に対し日本で源泉徴収される
※3:手続きが遅れた場合受給額の調整あり(遺族年金の訴求分、未払金、過払い金の精算)
※4:申請要件あり(死亡した受給者、遺族とも)

2.提出書類

ここでは提出書類については触れていません。提出書類は、年金加入者/受給者の身分(国籍、居住地、家族など)や年金加入状況によって異なります。詳細については本誌の過去のコラムをご参照ください。

3.障害年金について

障害年金については、保険料納付期間、障害の程度、提出書類などが細かく決められていて、専門家以外の人(特に海外居住者)が申請するにはかなりハードルが高いです。概要について本誌の過去のコラムでも紹介していますので、ご興味のある方はご参照ください。

いかがでしょうか?手続きや書類の提出が必要な時は年金運営者より通知が郵送でされますが、突然送られ、しかも難しい説明でよく理解できない場合だとどうすればよいか迷うと思います。ここで紹介した内容をどこかにメモ書きしておいて、ぜひ参考にしてみてください。

本コラムの英訳版/English translated version of this Column

http://www.life-mates.jp/Eng_Column6

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蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、介護・葬儀・相続など日本在住の老親のサポート)を行う。

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