【ニューヨーク不動産最前線】コンドとコープのボードは何が違う?

コンドミニアムにもボードの入居審査があるというと驚かれる場合が多いです。コンドミニアムにもボードが存在し、入居審査が行われるというのはあまり知られていないようですね。今回は、ニューヨークの不動産市場におけるコンドミニアムとコープのボード審査の違いについて、分かりやすく説明したいと思います。

まず、ビル内の運営に関しては、コンドミニアムやコープにおいては通常は「ボード」と呼ばれる運営委員会が決定します。このボードは住民投票で選ばれ、各ユニットオーナーの代表として機能します。

物件内での貸し出しや売却に関しても、オーナーとの合意があっても入居者は必ずボードの入居許可を得る必要があります。これがボードによる入居審査です。しかし、コンドミニアムとコープのボード審査には異なるポイントがあります。

コンドミニアムの場合、主にファイナンシャルな審査が行われます。買主の経済状況を評価するために、収入証明書や税務申告書、銀行残高証明書、投資口座の残高証明書などが提出されます。基本的には手続き的な審査であり、外国人や投資家であっても収入や資産が証明できれば問題ありません。

一方、コープの場合は厳しい基準が設けられます。経済的な審査に加えて、コミュニティへの適合性が非常に重視されます。たとえば申し込む人の職業が特定の条件を満たさない場合、ボードはそれを考慮します。また、ビルに報道陣が押しかける可能性のある職業の人や、ビルの住人に迷惑をかける可能性のある業種の人などは審査基準から除外されることがあります。

さらに、コープの場合は使用用途に制限があります。たとえば、ビルは主たる居住用としてのみ使用が認められているため、申し込み者がその部屋を賃貸物件や別荘として使用することは基本的に許可されません。これは、ビル全体のコミュニティの安定性を確保するための措置です。また、国籍や居住地に関する制限もあります。

最後に申し込み者の人柄や協調性も考慮されます。ビルのコミュニティに適応できるかどうかを重要視するため、書類審査にパスしてもボードとの最終面接で承認が下りないということもありえます。これはビル内の住人同士が円滑に関係を築けるかどうかを見極めるための措置です。要するに、コープの審査は経済的な面だけでなく、申し込み者の職業、使用用途、国籍、居住地、そして人柄や協調性などさまざまな要素が総合的に考慮されるのです。

このようにボードの入居審査といっても、コンドミニアムとコープでは実務と内容が大きく異なります。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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