刑務所で航空技師を育成〜WA州、人材補充と再犯防止狙う
- 2013年10月2日
- アメリカ発ニュース
航空産業の盛んなワシントン州の刑務所が、受刑者を対象に州内で不足する航空技術者の育成に取り組んでいる。
AP通信によると、スポケーン郡にある同州エアウェイ・ハイツ矯正所では現在、10人余りが航空業界用のコンポジット(複合材)を扱う公認技術者を目指して1年間の課程を受講している。資格を得るには49単位の取得が必要で、地元のコミュニティカレッジから講師を招き、1日6時間、週5日の学科および実技指導が行われている。
刑務所には従来から家具製造などの職業訓練制度があるが、同州では航空産業が製造分野の大部分を占めるにもかかわらず、地元での就職に有利な関連技術者の育成講座はなかった。コンポジット技術者講座の第1期生は2014年1月に卒業する予定。
スポケーン・コミュニティ・カレッジの担当者によると、受講者の半数以上は、入所時に高卒に相当する一般教育修了資格(GED)さえ持っていなかった。高収入につながる技術が身に付けば出所後の再犯率低下が期待できるといい、関係者はコンポジットの受講者が時給15ドル以上の職に就けることを願っている。
コンポジットは、性質が大きく異なる複数の素材を合わせた材料で、ボーイングの最新機787型(ドリームライナー)のほか、船舶の外装、プールの壁面、自動車の車体、シャワー室、バスタブ、宇宙船などでも使われているが、州内ではこの分野で働く労働者が大量に不足している。
航空技師資格の取得には受刑者1人当たり約2000ドルのコストがかかるが、州矯正局の教育担当者マイク・パリス氏によると、出所者が再び罪を犯すことで生じるコストに比べればはるかに安上がりだという。
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