2014年CESの物足りない実態 〜 独自の見本市をホテルで開く企業も増加
- 2014年1月14日
- ハイテク情報
ラスベガスで開かれていた世界最大の国際消費者電子製品見本市(CES)が盛況のうちに10日に閉幕したが、革新的製品が不在だったという冷評も出ている。
今回のCESの公式参加者数は15万2000人、出展企業数は3200社と過去最大。広大な会場では、検知器を着けた人々がセグウェイで行き交い、空中には無人飛行機(ドローン)が飛び、まさにハイテク業界の一大祭典となった。
しかし、ニューヨーク・タイムズによると、今年のCESはこれまでとは異質で、非常に物足りない大会となったと指摘する専門家も少なくない。
CESといえば、次世代のヒット商品を生み出す見本市として60年代から注目されてきた。ビデオカセット・レコーダーが史上初めて登場したのが1970年のCESだった。
1981年にはCDプレイヤーが、1998年には高精細テレビ(HDTV)がCESで初めて披露され、また、2001年にはマイクロソフトのビデオゲーム機「エックスボックス」がCESで初めて披露された。
それらに比べると、今回のCESは、お祭り騒ぎの盛り上がりを見せたものの、業界専門家や世間の関心を決定的に引き付ける目玉となる新技術や新製品がなかったと言える。
業界専門誌のブライアン・ラーム編集長は、「消費者の9割に普及するスマートフォンやテレビ、パソコンを売り続けなければならないメーカー側が、本当に求められているのかどうか疑わしいながらも、成熟した市場に向けて、何らの新機能を付け足して販促を試みている」と描写する。
一方、マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授は今回のCEについて、本当の意味での革新を見いだすのは難しかったと語る。
今年のCESで目玉と位置づけられたのは身体装着型端末であり、そのなかでもスマート腕時計が、過去のCDプレイヤーや高精細テレビにあたる存在となった。しかし、実用性や機能の面では、スマート腕時計はスマートフォンの補助的機器にとどまるのが実情だ。
曲面テレビにしても、広角視聴を可能にするという触れ込みだが、従来の平面テレビでも脇からの視聴の質をすでに高めており、違いはほとんどない、と専門家から指摘されている。
グーグルやソニー、シスコといった大手は、CESの主要会場に大きなブースを構えた一方で、近隣ホテルの会議室を借りて独自の展示会を開いており、CESと切り離した見本市を展開した。ツイッターやフェイスブックにいたっては、CESに出展せずに、ホテルだけで自前の見本市を開いた。
同様に、ホテルの会議室を借りて独自の見本市を開催した無線ウェブキャム開発新興企業ドロップキャム(Dropcam)のグレッグ・ダフィー最高経営責任者(CEO)は、「CES会場があまりにうるさいので、人と話すための静かな場所が必要だった」だと話している。
フェイスブックやドロップキャムの動きは、世界中からCESに集まる人を狙って、自前の見本市をホテルで展開する企業の増加という新たな傾向を暗示していると言える。
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