津波犠牲、賠償認めず 屋上避難に合理性

 【共同】東日本大震災の津波で支店屋上に避難して犠牲になった七十七銀行女川支店(宮城県女川町)従業員3人の遺族が、同行に計約2億3500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は25日、請求を棄却した。

 遺族側は同日、判決を不服として控訴した。

 争点だった屋上(2階建て、高さ約10メートル)への避難の是非について、斉木教朗裁判長は「屋上を超えるような巨大津波の予見は困難だった」と指摘。屋上避難には合理性があり、銀行側の安全配慮義務違反には当たらないとした。

 震災で企業の安全管理が争われた訴訟で初の司法判断。昨年9月に原告が勝訴した宮城県石巻市の日和幼稚園訴訟と判断が分かれた。今後、ほかの同種訴訟に影響を与えそうだ。

 女川支店では2011年3月11日の地震直後、支店長の指示で屋上に避難したが13人全員が津波にのまれ、支店長を含む12人が犠牲になった。

 裁判で遺族側は「屋上ではなく、支店から約260メートル離れた町指定避難場所の堀切山に逃げるべきだった」と主張したが、判決は「余震が頻発する緊迫した状況で、屋上に避難するとの支店長の判断が不適切だったとはいえない」と指摘した。

 また七十七銀行の災害マニュアルでは従来、大規模災害時の避難先は堀切山だったが、09年のマニュアル改訂で新たに屋上を追加。遺族側は、改訂は誤りと主張したが、判決は「人命最優先の観点から、迅速に避難できる場所として合理性があった」と退けた。

 その上で、震災前の防災態勢も「従業員に避難場所を周知徹底しており、十分な安全教育がなかったとはいえない」と判断。「企業が最悪の事態を常に想定し、行政機関より高い安全性を労働者に保障すべきとはいえない」とした。

 津波の犠牲者遺族が管理者側に賠償を求めた訴訟の判決は、日和幼稚園訴訟に続き2件目。この訴訟も斉木裁判長が担当し、「大津波は容易に予見できたのに、園長らは情報収集義務などを怠った」として園側に計約1億7700万円の賠償を命じた。

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