仮想現実でオンライン・バンキング 〜 ウェルズ・ファーゴ、技術応用積極化

 米銀行大手ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)は、IT技術開発拠点「デジタル・ラブ(Digital Lab)」をシリコン・バレーに開設し、オンライン・バンキング技術の開発を積極化させ、その一環として、オキュラス・リフト(Oculus Rift)やグーグル・グラス(Google Glass)の応用案を実験している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、デジタル・ラブの研究者は、実用化を目指した応用案の一つとして、オキュラス・リフト製の仮想現実ヘッドセットを利用して、あたかも銀行支店内を歩いているかのように行員とやりとりしながら用事を済ませることができるオンライン仮想現実機能を実演した。

 また、グーグル・グラスの場合は、同社が提供するアプリケーションを利用して利用者が商品をスキャンすると、月の生活費のなかにその商品価格が収まるかどうか調べる機能を紹介した。

 そのほか、グーグル・グラスを使って顧客の顔認証を行うという活用案もあったが、それについては、顧客が顔スキャンを受け入れるかどうか疑問視される。それに加えて、顔認証の精度にも不安が残るという指摘もある。

 ウェルズ・ファーゴが披露した新たな応用例として現実味が濃いと期待されるのは、モバイル・アプリケーションにビデオ・チャット機能を組み込むことで、遠隔地の行員と会話できるようにするというものだ。

 また、利用者が銀行に着くまえににアプリケーション経由で用事を伝えて、窓口での処理時間を短縮するという案も出ている。

 ウェルズ・ファーゴはさらに、車載アプリケーションも披露した。同アプリケーションを使うことで、運転手は音声コマンドで小切手を振り込んだり、料金所の料金を払えるようになる。

 ウェルズ・ファーゴは、それらの応用案を2014年中に全米6000ヵ所の支店で試験的に導入していく。本格的に導入されるまでには、利用者の受け入れ体制やプライバシー保護といったいくつかの課題を解決するため3〜5年かかるだろう、と同社は考えている。

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