メイシーズ、特価販売に参入〜リセッション後の新時代に対応

 百貨店大手メイシーズ(Macy’s、オハイオ州)は、小売り市場の変化に対応するため、欠陥商品、返品商品、シーズン遅れ商品などを安く販売するオフプライス(安売り)市場に本格参入する。

 ロイター通信によると、過去6年間、主に経費削減や業務の合理化による収益改善に努めてきた同社はこのほど、今後は攻めに転じ、12億ドルを投じて国際事業を拡大しながらオフプライス店を展開すると発表した。

 国内では2008年のリセッション(景気後退)以降、中流層が低価格商品に目を向けており、コンサルティング会社ファクト・アンド・オピニオン・エコノミクスのチーフ・エコノミストは「時代が変わった。多くの人は給料が安いためそれに合わせた買い物をしなければならない。メイシーズは小売り業界の現実に対応しようとしている」と説明する。

 消費者全体の意識も変わり、裕福だがリセッション当時は倹約して安い物を買っていた人々は今も安売り店に通っている。メイシーズの新戦略では、ブルーミングデイルズが上流向け、メイシーズは中流向け、新しい店はバーゲンハンター向けと位置付けられる。

 安売り市場は現在、TJX傘下TJマックス、ロス・ストアズ、バーリントン・ストアズなどが優勢で、TJXは過去2年間に売上高が年6%のペースで増えている。これに対しメイシーズの売上高増加率は平均でわずか0.75%。小売り市場調査リテイル・メトリクスのケン・パーキンス社長は「今の小売り環境で今後の成長を考えた場合、安売り市場を検討しないわけには行かず、そうするのが賢明」と話した。

 高級百貨店ノードストロームも、最近の成長は大部分がオフプライス部門ノードストローム・ラックから生まれている。ノードストローム・ラックは過去2年間、売上高が四半期ごとに10%以上伸びており、社全体の伸びは0.4〜8.9%にとどまっている。メイシーズの2014年第4四半期(11月〜15年1月)売上高は前年同期比2%増だった。

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