IoT、職場環境をグリーン化 〜 革新度は90年代のインターネットに匹敵

 モノのインターネット(IoT=Internet of Things)を職場環境の改善に活用する方法が各方面で模索されている。

 グリーンビズ誌によると、それが実現されつつある分野としては、建物管理や製造現場が挙げられる。新しい建物では、検知器の検出する状況に応じてエネルギー管理システムが空調や照明を調節している。工場の製造機械にも検知器が取り付けられ、問題が発生すればすぐさま報告される。また、在庫管理もリアルタイムで行われるようになっている。

 「物理世界で何が起こっているかをリアルタイムで把握できるようになった。これまでは別々に管理されていたデータが、一つの場所に流れ込むようになっている」「機械が壊れかけている状態を探知して製造ラインから外し、予備の機械にすぐさま切り替えて生産を続けられる」「それがIoTの破壊的(現状打破)な性質であり価値の提示だ」と、IoTソリューションを開発するシングワークス(ThingWorx)のジャック・リーダー事業開発責任者は話す。

 しかし、その一方で、職場環境にIoTを導入するにはいくつかの壁もある。まず、既存の建物を改修するには多額の投資が必要になる。たとえば、エレベーターを交換して、故障を予測できるような機種に切り替えるとなると、かなり高額の工事が必要だ。

 また、大量のデータを分析するプラットフォームも、現在は発展途上にある。職場環境でエネルギー使用状況やセキュリティー管理を支援するプラットフォームが真に成熟するまでには、あと数年かかるとみられる。

 とはいえ、IoTが物事や事象を大きく変えるという期待感は大きい。低電力検知器を製造するサイキック(PsiKick)のデイヴィッド・シモンズ最高技術責任者は、IoTの現在の段階を90年代のインターネット登場に例える。

 「IoTは、物事の進め方を根本的に変化させるだろう。90年代にワールド・ワイド・ウェブが登場して、職場が抜本的に変わったのと同じだ。オフィスで働いている人は気付かないかもしれないが、電気代を払う人にとっては、事業の競争力を高める劇的な変化になる」と同氏は話す。

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