UPS、立体印刷サービスを試験運用へ 〜 拠点空港に100台設置し需要を観測
- 2015年9月25日
- ハイテク情報
輸送大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は、立体印刷(積層造形)サービスを試験的事業として始め、ケンタッキー州の拠点空港に100台の産業用立体印刷機を導入した。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同社は、立体印刷技術が普及すれば、インターネットの普及によって書類の翌日配達事業が大打撃を受けたような影響が出る恐れを抱く一方、地方での生産や配送という新しい市場も見込めると考えており、その可能性を見極めるために立体印刷センターを開設している。
UPSのデイブ・バーンズ最高情報責任者(CIO)は、「この技術を脅威と見るべきか支持すべきか? 輸送会社としては挑戦されているとも言えるし、活用を要請されているとも言える」と話している。
UPSの立体印刷サービス計画は、同社が2014年に出資した新興企業クラウドDDM(ジョージア拠点)によって実行される。2016年にはDDM製の立体印刷機900台を加える計画。UPSは、米国以外にも同様の立体印刷工場を開設することも検討している。
データ会社ディーロジック(Dealogic)によると、立体印刷機業界の売り上げは過去3年間に年約34%で増えており、関連買収は過去5年間に4億6800万ドルを超えている。
輸送業界ではUPS以外も同分野に注目している。たとえば、フェデックスが買収するTNTエクスプレス(オランダ拠点)は、ドイツの一部で立体印刷サービスを始めている。
一方、アマゾン(Amazon)は配送トラックの内部で商品を印刷する即応サービスの確立を目指して、立体印刷トラックの特許を申請している。
それに対し、DHLは、アジア発欧州向けの全製品を調べた結果、「立体印刷が可能の商品は2〜4%」と結論づけた。DHLの調査では、立体印刷によって完全に機能するかたちで複製できるのは、赤ちゃん用の靴やテーブル・サッカーを含むほんの一部に限定されると見込まれ、したがって「多くの商品におよぶことは考えにくく、立体印刷技術を恐れる必要はない」と結論付けている。
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