医療保険新興企業の革新的挑戦 〜 アルゴリズムで高齢者向け予防治療に特化

 グーグル(Google)やアマゾン(Amazon)に起業初期から投資したことでも知られる有力ベンチャー・キャピタル大手のセコイア・キャピタル(Sequoia Capital)は16日、健康保険新興企業のクローヴァー・ヘルス(Clover Health)に3500万ドルを投資する、と発表した。

 クローヴァーは、データ分析を駆使した予防医療によって高齢者の健康管理を向上させ、メディケア(高齢者向け医療保険制度)の民間版の保険加入者に対し、より安い保険商品を提供している。

 クローヴァーが開発したデータ分析技術は、治療が必要な時を認識し、治療方法にも介入することで、患者と保険会社にかかる医療コストの抑制を図るというもの。

 同社の保険商品は、連邦政府のメディケア・アドヴァンテージという制度の適用対象で、何らかの身体障害を持つ65歳以上を対象とするため、民間保険会社が保険適用範囲を管理でき、適用外を連邦政府が負担する制度に組み込まれている。

 米国の医療保険市場は年間2200億ドルという巨大規模だが、大手らがその大部分を牛耳っているため、弱小の新興企業が進出しても勝ち目はないという見方もある。

 しかし、クローヴァーは、独自開発のアルゴリズムとソフトウェアによって、患者が入院する可能性がもっとも高まる時期および状況や、治療費がもっとも高くつく状況を予想して医師や看護担当者に通知し、患者を訪問検査したりといった事前対応を促すことで病状悪化を防ぐとともに、治療費を最小限に抑える機能を提供することから、十分な競争力がある、と自信を見せる。

 患者が入院するかしないかは、保険会社にとって保険負担分が劇的に増減する分かれ道だ。クローヴァーの場合、保険加入者の入院を回避すれば1回あたり平均1万ドルの節減につながる。

 団塊世代が高齢化するなか、アルゴリズムによる予想分析を駆使したクローヴァーの医療保険事業に商機が来るというのが、セコイア・キャピタルの読みということだ。

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