上映中のスマホ容認案を撤回 〜 AMC、抗議殺到で

 映画館チェーン大手AMCエンタテインメントは、映画上映中に携帯電話の使用を認めることを検討していたが、反対意見が多かったためこのほど計画を撤回した。

 クリスチャン・サイエンス・モニターによると、AMCのアダム・アーロン最高経営責任者(CEO)は先月発行のバラエティ誌に掲載されたインタビュー記事で「22歳の若者に映画の邪魔だから電話を切れというのは、片腕を切り落とせと言うようなもの」と、現代の若者のライフスタイルに追随して上映中もスマホ使用を認める計画を語った。

 しかし、スマホの画面の光や着信時の振動音を嫌がる客は多く、雑誌の発売直後からソーシャル・メディアなどで抗議が殺到したため、発売2日後には従来通り電話の使用は禁止する方針を明らかにした。

 映画館業界では来館者の減少が続いており、近年は多くの映画ファンが自宅でネットフリックスを見ているため、2014年はチケット販売が過去20年間で最低に落ち込んだ。客足を取り戻すための苦肉の策としてアーロンCEOが考えたのが、携帯電話を切らずに映画を見られる選択肢を提供して若い世代を引きつける作戦で、他の客の迷惑にならないよう専用の鑑賞室の設置などを検討していた。

 しかし、この案にはエンタテインメント業界内部からも批判が集まり、アトランティック誌のデイビッド・シムズ編集者は「劇場体験の大きな利点の1つは、こうした邪魔から離れられることにある。自宅での映画鑑賞という脅威にさらされている映画館はこの違いをなくすのではなく強調すべき」と書いている。

 若い世代はマルチタスキングに抵抗がなく、ピュー・リサーチ・センターが15年に行った調査では、10代の92%が毎日インターネットを使い、そのうち24%はスマホなどでほぼ常にネットにつながっており、3分の2は宿題をしながらソーシャル・メディアを使うといったマルチタスクができると答えている。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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