低所得者向け住宅が効率化の担い手に 〜 費用削減が建物管理収支に直接反映

 低所得者向けの住宅が、集合住宅のエネルギー効率化の傾向を率いる動力源となっている。

 エネルギー・マネージャー・トゥデイ誌によると、消費者向け太陽光発電システムは中上位世帯以上が標的市場であるとみなされてきたため、低所得層世帯が市場成長を牽引しているというのはこれまでの通説と矛盾するが、実際には理にかなっている。

 低所得者向け住宅の家賃は、入居者の所得に対する割合で決められることが多く、需給関係といった市場原理の影響をあまり受けない。

 住宅管理者にしてみれば、家賃を上げることができないのであれば、維持費用を下げるしかない。エネルギー効率化は、その手段として非常に有効だ。

 光熱費の請求書情報を記録するデータベースを構築して自治体にサービスを提供しているウィーゴーワイズ(WegoWise)は、十数ヵ所で低所得者向け住宅の電力効率化を支援している。

 最高経営責任者(CEO)のアンドリュー・チェン氏によると、集合住宅の高熱費は、商業建物の高熱費とは異なり、水道使用量がより大きな問題になっているという特徴がある。その点においては、ホテルや病院と似た傾向にある。

 また、集合住宅は、建物管理システムが導入されていないことが多いことから、簡単に実践できる改善策を比較的容易に見つけられる。公益サービスのメーター・データと請求書データは、そういった環境において重要な手がかりをもたらす。

 同社がコネチカット州フェアフィールド郡の低所得者向け住宅で着手した新しい開発事業では、1年間にわたって水準および基準データを無料で提供する。

 ウィーゴーワイズのソフトウェアが状況を分析して、建物が効率的に運用されているかどうかを判断し、効率が悪ければ対策を提示して、その効果を追跡する。

 一般に、集合住宅にはエネルギー効率化の余地が大いにある。なかでも低所得者向け住宅では効率化の効果が直接的に利益に表れることから特に重要だ、とチェン氏は説明している。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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