アラブ首長国連邦(UAE)第2の都市(首長国)ドバイが、電気自動車(EV)の 利用促進を目指して新しいインセンティブ(奨励策)を導入した。
グリーンカー・リポーツによると、石油が豊富な地域では、内燃エンジン車の 燃料の元(原油)を供給しているだけに電池で走るEVやプラグイン・ハイブリッ ド車(PHV)などの代替エネルギー車は軽視されがちだった。しかし今は、世界 有数の原油生産国でさえ石油への依存軽減を考えている。
ドバイのインセンティブには、EV(PHVを含む)に対する駐車や充電の無料化 などが含まれる。市当局は「UAE内の排気ガスを削減する重要な施策の1つで、 2020年までに地域で3万2000台のEVを普及させるという目標達成に向けた小さな 一歩」と説明している。
資源情報ウェブサイトのエナジー・ボイスによると、ドバイ電力水道局 (DEWA)は15年に100カ所のEV用充電ステーションを設置しており、17年内にさ らに100カ所を加える計画で、無料充電制度は19年末まで続ける。また、人口で は国内最大都市のドバイで駐車場を見つけるのは難しいため、駐車場が無料とい う制度も非常に便利だ。さらにEVは、有料道路の通行料金や車両登録手数料も免 除される。
EV重視の動きはサウジアラビアを含むほかの中東諸国でも見られ、代替エネル ギー発電の普及を目指す国が増えている。世界各国が化石燃料への依存から抜け 出そうとする中で、石油偏重の自国経済の先行きを懸念しているからだ。
サウジアラビアは16年、収入を石油生産に頼らない新しい経済の方向性を示し た「ビジョン2030」計画を発表し、軍事や観光といった石油以外の分野に投資す る計画を進めている。
ただし、排ガスの削減は化石燃料の消費をできるだけ減らさずに実施する意向 で、サウジは気候変動抑制に関する国際協定「パリ協定」が15年12月に採択され る前にも「炭素排出量は削減するが負の影響は最小限に抑えなければならない」 と強調していた。こうした姿勢に石油生産国が置かれた板挟みの苦境がうかがえ る。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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