中国の配車サービス最大手・滴滴出行(ディディ・チューシン)は、2018年にメキシコへの進出を計画している。
ロイター通信が関係筋の話として伝えたところによると、1〜3月期をめどにメキシコでスマートフォン・アプリを提供し、地元のドライバーを採用する予定で、すでに営業要員の雇用を始めているという。また、17年11月にはメキシコ政府の貿易振興機関プロメキシコ(ProMexico)と、同国内の事業機会について話し合っている。
滴滴出行は、ベンチャーキャピタルが支援する非上場企業としては米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズに次いで世界で2番目に企業価値が高いが、まだ中国以外ではサービスを提供しておらず、西側諸国では知名度も低い。しかし、海外旅行をする中国人が増える中、外国での事業展開を狙っており、4月には国際事業拡張などのため投資家から55億ドルの資金を調達している。
ただし滴滴出行が外国で活動していない訳ではなく、これまでにウーバーと対抗する配車サービスに投資したり、シリコンバレーに研究所を開いたりしている。投資先は米国のリフト(Lyft)、ブラジルの99、インドのオラ(Ola)、シンガポールのグラブ(Grab)、エストニアのタクシファイ(Taxify)、中東のカリーム(Careem)などがある。
ウーバーは、中国で滴滴出行との競争に敗れて約20億ドルの損失を出した後、16年には中国事業を滴滴出行に売却。その後は中南米に力を注いでおり、滴滴出行がメキシコに進出すれば再び両社が競争することになる。
ウーバーはメキシコで強固な地盤を築いており、45都市に700万人の利用者を持つ。特にメキシコシティはブラジルのサンパウロ、リオデジャネイロに次いで同社にとって世界で3番目に大きな市場になっている。メキシコにはスペインのキャビファイ(Cabify)も進出しており、7都市で事業展開する。
一方、メキシコでは伝統的なタクシー業界との直接競合を懸念して配車サービスへの現金払いを規制する動きが強まっている。観光客の多いキンタナロー州の場合、現金支払いを禁止する州法案が審議されている。ウーバーはクレジットカードを持たない客を取り込むには現金払いの受け付けが不可欠と考えており、法案が可決されれば営業の痛手になりかねない。
しかし、市場には成長の余地があり、現金規制に対応しながら銀行口座を持たない消費者を取り込む方法を見つけられれば、ウーバー以外の配車サービスも成功の可能性は十分あると見込まれる。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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