仮想通貨ビットコインの価格を急激に上昇させているのは、犯罪者でも詐欺師でもなく日本の多くの個人投資家だという見方を、ドイツ銀行のアナリストらが発表した。
■関心が仮想通貨に移行
ウォールストリート・ジャーナルによると、ドイツ銀行のアナリストは、これまで円やドルといった現実の通貨の為替取引をしてきた30〜40代の日本人男性トレーダーが、最近になってビットコインのような仮想通貨に関心を移したと考えている。
経済界では、円取引で利益を得ようとする主婦を含む日本の個人投資家を「ミセス・ワタナベ」と呼んでいるが、ドイツ銀行はビットコインを売買する日本のトレーダーを「ミスター・ワタナベ」と呼び、時に借金をしてまで元手を作って多額の取引を行い、価格を高騰させていると分析。顧客に向けた通知で「日本の 個人投資家は為替のレバレッジ取引から仮想通貨のレバレッジ取引に移行している。市場を去る者は少なく、次々と新しい投資家が入ってくるため投資家の裾野が広がっている」と説明している。
■取引の4割が円建て
ビットコインは、銀行や政府と関わることなくコンピュータ上で簡単に取引できる。このため2017年は、有価証券に代わる魅力的な選択肢として多くのアジア人個人投資家の目を引き、爆発的な伸びを記録している。情報ウェブサイトのコインデスク(CoinDesk)によると、年初は1000ドル以下で取引されていたビット コインは最近、1万7212ドルまで上昇した。特に以前からテクノロジーと為替取引が人気の日本では、その両方が1つになった商品として投資家を引きつけている。
仮想通貨の動きを追うコインヒルズ(Coinhills)のデータによると、現在ビットコイン取引の約40%が円建てだという。他国に比べると、日本の政府もビットコイン市場に好意的な政策を取っている。中国の場合、仮想通貨の取引や企業の新しい資金調達方法としての新規仮想通貨公開(ICO)を禁止している。これ に対し日本では、17年にビットコインを正当な決済方法と認め、取引所に対しては最低資本要件、顧客口座の分離管理、犯罪行為の監視を義務付けるなど新しい規制も整備した。
■より高いリスク
ドイツ銀行は「日本人投資家はボラティリティ(変動性)を肯定的に考える人が多い。典型的な日本の投資スタイルは、低リスク・低リターンの預金と高リスク・高リターンの投資の組み合わせだ」と指摘する。日本は、世界の外国為替証拠金取引(FX)市場の約半分を占めているが、こうしたレバレッジ効果を見込ん だ取引戦略は、従来の為替市場よりも仮想通貨市場の方がリスクが高く「日中の変動が激しいため、マージンを超えて損失を出すリスクが普通のFX取引より高い。この結果ブローカーもより高い損失リスクに直面している」(ドイツ銀行)と考えられている。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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