保有資産拡大は出口戦略妨げる セントルイス連銀総裁

 【共同】セントルイス連邦準備銀行のブラード総裁は14日、ミシシッピ州スタービルで講演し、量的緩和第3弾(QE3)について「現在のインフレ率はむしろ低く、そうでない場合よりも長期間資産購入を継続する余地がややある」としつつ「バランスシート規模は、現在の超緩和的な金融緩和政策の適切な出口戦略を実施するための能力を妨げ得る」と述べ、資産購入の継続期間は連邦準備制度の保有資産規模とのバランスを考慮しながら検討するべきだとの認識を明らかにした。

 総裁は資産購入を労働市場の改善に結び付けて「期限を区切らない」とした点を昨年のオペレーション・ツイストに比べて「より効果的な政策手段だ」と説明した。事実上のゼロ金利政策を解除する前提条件としての失業率とインフレ率の基準導入は、経済情勢に応じて「利上げ時期の到来を示唆する」手掛かりになると評価。ただ、あくまでも政策変更の「誘因」ととらえるべきであって、すべてを解決する「万能薬」ではないとも強調した。経済状況の分析に際しては「より数多くの変数を考慮する必要がある」と述べ、物価動向や雇用情勢を多角的に判断しなければならないと説いた。

 また、資産購入の終了時期について基準を設けるのは「難しい」とし、経済情勢に応じて「規模を変更する必要がある」と述べた。国内総生産(GDP)でみたバランスシート規模は、他の主要国の中央銀行に比べて「大きくはない」としたものの、政策金利の引き上げに伴う金利上昇によって資産価値が下がれば「政策決定が難しくなる可能性がある」と警告した。

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