自動運転車が実用化された場合、車体には明るい色が使われる可能性が高い。自動運転を支える重要なセンサーの1つであるライダー(LiDAR=光を使った測距装置)は、明るい色の車の方が認識しやすいためだ。
USAトゥデイによると、2013年にデュポンからスピンオフした自動車用塗料大手アクサルタ・コーティング・システムズ(Axalta Coating Systems、ペンシルベニア州)のナンシー・ロックハート国際カラー・マーケティング責任者は、1月のデトロイト自動車ショーで「色をテストした結果、ライダー・システムでは反射率の高い色の方が検出しやすいことが分かった」と発表した。
業界は、暗い車色でも検知できる技術の開発に取り組んではいるが、明るい色の車の検知よりたくさんのセンサーが必要になる。このため自動車メーカーは、初期の自動運転車に白やシルバーなどの明るい色を使って、安全を確保すると同時に価格を安く抑える可能性が高い。
自動運転車の塗料では、色のほかにも汚れにくさを考える必要がある。汚れがたまるとセンサーの働きに影響を与え、車に誤った信号を送る危険性が生まれる。これは、人がハンドルを握らない自動運転車ではあらゆる点に細心の注意を払う必要があることを示しており、自動車コンサルティング会社P3ノースアメリカのサミット・ゴーシュCEOは「車のデザイン全体が基本的に異なってくる」と話す。
一方、人は色や見た目で車を選ぶことが多いため、塗料会社は自動運転車に様々な色を使えるよう対応を準備している。アクサルタは暗い色の塗料に明るい色の薄い破片を混ぜ、基本的な外見を保ちながら反射率を高める取り組みを進めている。ロックハート氏は「色は販売につながる。退屈な色だけの世界になるとは思わない」と述べた。
同業のPPGインダストリーズは、飛行機の胴体に使う先進塗装技術を基に、黒の反射率を20〜30%高める技術の開発に取り組んでいる。同社のデイビッド・ベム最高技術責任者は「初期の自動運転車が明るい色中心になるとすれば、安全面を考えた結果だ。センサーの数が少なくて済むためコストも削減できる」と指摘した。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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