イーロン・マスク氏が破壊的変革に挑む8つの業界 〜宇宙規模の考えで既存事業に激震か

 起業家のイーロン・マスク氏は、新規参入の難しい複数の業界で既存の大手や事業体に相次いで挑戦している。CBインサイツ誌によると、同氏は現在、下記8つの業界で破壊的(現状を打破する革新的)な力となって、これまでの勢力図を書き換えようとしている。
 
 ▽エネルギー
 
 同氏が立ち上げたテスラ(Tesla)は、米国内外の発電施設や公益会社の事業モデルを激変させつつある。再生可能エネルギーや送電網に同社の蓄電システムを統合する動きは世界各地で活発化している。テスラは、オーストラリアで世界最大の蓄電設備の設置に参加しただけでなく、ソーラー・パネルやソーラー屋根の開発にも進出している。
 
 ▽自動車
 
 マスク氏は、電気自動車の価格を引き下げていく姿勢を示している。また、自動運転技術にも投資している。それらの技術を活かした「テスラ・ネットワーク」は、ウーバー(Uber)やリフト(Lyft)、既存のタクシー業界に大きな脅威となり得る。
 
 ▽通信
 
 マスク氏が起業したスペイスエックス(SpaceX)が進める人工衛星事業は、高速インターネット接続が行き届かない遠隔地へのサービス提供を視野に入れている。インターネット接続の手段や価格、速度を劇的に変える可能性があり、グーグルやフェイスブック、ケーブル大手らの脅威的存在になる可能性がある。
 
 ▽輸送交通
 
 マスク氏が打ち出している「ハイパーループ(Hyperloop)」構想は、リニア誘導モ ータや空気圧縮によって低圧管のなかをカプセルが時速500km〜1000kmで行き来する新しい移動手段だ。ワシントンDCとニューヨーク市をわずか30分でつなぐことを目指している(車なら約3時間半の距離)。乗客または貨物の輸送手段として提案されており、10社近い新興企業が試験に着手している。高速列車や短距離航空便に取って代わる環境配慮型の超高速交通機関として期待される。
 
 ▽建設
 
 マスク氏が2016年に設立したボーリング・カンパニー(The Boring Company)は、トンネル掘削のコストを低下させることを目指している。CBインサイツによると、トンネル掘削のコストは現在、1マイルあたり10億ドルだ。ボーリング・カンパニーは2017年末にロサンゼルスで掘削を開始した。
 
 ▽航空宇宙
 
 火星への飛行を目指すスペイスエックスのロケット技術は、地球上の都市間をつなぐ航空移動手段にも影響をおよぼす可能性がある。同氏は、軌道に乗らない弾道飛行が実現すれば、地球上のどこへでも1時間以内に行けるようになると考えている。
 
 ▽人工知能
 
 マスク氏は、人工知能が世界戦争のきっかけとなる可能性を懸念しており、ゆえに、すぐれた平和的応用の人工知能開発を模索している。「以前から警鐘を鳴らし続けているが、ロボットが通り魔殺人でも起こさないかぎり、人々はどう対処すれば良いかわからない」と同氏は話している。同氏は、非営利会社のオープンAI(OpenAI)に投資している。
 
 ▽医療
 
 マスク氏は、神経科学技術を研究するニューラリンク(Neuralink)を2016年に設立した。脳とコンピュータをつなぐインターフェイスを開発するのが目標だ。短期的には脳の重大疾病の治療を目指すが、最終的には人間の能力の拡張も目的とする。
 
 CBインサイツによると、「イーロン・マスク氏は、われわれの通念を超える宇宙規模で物事を考え、行動している」「彼のおもな事業計画は、ほぼすべての巨大な業界や、考え得るほぼすべての世界的な問題の解決に挑戦し、それらの業界の破壊的(現状打破)かつ抜本的な再構築を描いている」。
 
 【https://cleantechnica.com/2018/02/10/8-industries-mr-elon-musk-trying-transform-infographic/】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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