世界貿易をめぐる緊張が高まっているが、航空貨物業界ではeコマースの爆発的増加で需要が高く、収益も伸びている。
ロイター通信によると、国際航空運送協会(IATA)はこのほど豪シドニーで開いた年次総会で、2018年の航空貨物需要は前年比4%増加すると予想した。最大の受益者は、キャセイ・パシフィック(香港)、エミレーツ(ドバイ)、ルフトハンザ(ドイツ)、大韓航空といった航空貨物大手。またeコマースの拡大は、UPSやフェデックスといった運輸大手、中古ジェット機の販売業者、「フレイトドッグ」として知られるパイロットなどにも恩恵をもたらす。
航空貨物7位ルフトハンザのカールステン・シュポアCEOは「貨物環境は非常に堅調。インバウンド、アウトバウンドともに、おそらく自分がここ数年見た中で最高の環境」と話している。同社の貨物機は、輸出主導であるドイツ経済とeコマースで売られた商品のために行き帰りとも貨物を満載している。
米国、中国、欧州を中心に貿易摩擦の緊張が高まっているが、業界はeコマースが拡大し続けオンラインで商品を購入し迅速な配達を望む人が増えると期待している。コンサルティング会社ICFのミレーヌ・ショルニック氏も「航空貨物は 貿易緊張の影響を受けるかもしれないが、比較的堅調なGDPの継続とeコマースに支えられる可能性がある」と見ている。キャセイのルパート・ホッグCEOによると、消費支出の増加がエレクトロニクスのような高級品の需要を推進しており「明らかに小売業界の地図は変化している。eコマースは成長を続け、小包みの動きもそれに続いている。当面状況が変わるようには見えず、それがベースロードを形成し始めている」という。キャセイの本拠地である香港は世界最大の貨物拠点。
米国は鉄鋼やアルミニウムの輸入制限を発動しているが、それらが空輸されることは少ない。ルフトハンザのシュポア氏も「今の貨物の見通しを見る限り、貿易戦争はヨーロッパ人としては心配だが、ルフトハンザCEOとしては心配していない」と話している。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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