2017年の米国と英国のデジタル・マーケティング(マーテック)支出が前年比44%増えて520億ドルに達し、世界支出は現在1000億ドルに近付いていることが、英2社の調査で分かった。
ロイター通信によると、大手会計事務所ムーア・スティーブンスとメディア・コンサルティング会社WARCが北米、アジア太平洋、欧州の企業800社以上を対象に実施した調査では、英国と北米のブランドがマーテックに投じる予算は全体の23%と1年前の16%から拡大した。また、米国のテクノロジー予算の63%は社内で使われ、前年の44%から増加したことが分かった。
マーテックは仲介業者を通じてオンライン広告を出すのと違い、ソーシャルメディア、検索エンジンの最適化、アマゾンの「アレクサ」のような音声認識アシスタントを使って、ブランドが消費者を直接標的にできる。また、プロクター&ギャンブルやユニリーバといった消費者用品大手のように、不適切なオンライン広告問題には社内で対応したいというブランド側の思いも強まっている。
偽ニュースなど不適切なコンテントの隣に広告が表示されるとブランドの安全性が脅かされるため、販売業者の不満は高まり、広告対象となる消費者の絞り込み方法に関する支配を強める動きが促進されている。ムーアのダミアン・ライアン氏は「各ブランドは問題に対抗できる機能を社内で構築しようとしており、競争力を維持するためにマーテック予算を増やしている。予算はメディア支出に含まれ、デジタルメディアを主とする代理店の価値を高めるだろう」と指摘し、従来の広告代理店がデジタル時代への対応に苦労している状況をほのめかした。
5月に欧州で施行されたデータ保護規制や、ネット検索大手グーグルと交流サイト大手フェイスブックのデータ運営に関する懸念は、広告業界の統合や一部企業の撤退にもつながっており、ライアン氏は「業界で淘汰が始まっている」と述べた。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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