米国人の飲酒量が減っており、酒造大手はティーやエナジードリンクなど酒以 外の飲料に力を入れている。
■落ち込み最大はビール
ウォールストリート・ジャーナルによると、酒類専門の市場調査会社IWSRの最新データでは、米国のアルコール消費量は2018年に前年比0.8%減少し、17年の 0.7%減から落ち込みが加速した。最も減っているのはビールで、17年の1.1%減から18年は1.5%減となった。ワインは1%増から0.4%増に、蒸留酒は2.2%増から1.9%増に伸びが鈍化した。
IWSR米国代表のブランディー・ランド氏によると、ミレニアル世代(Y世代)を中心に、節度ある飲酒や酒はまったく飲まないという流行が拡大しているためだという。業界幹部も、健康を気にする消費者が増え、若い世代の社交スタイルは親の世代よりも酒の消費量が減っていることを認識している。
米国人のアルコール消費量は、過去数十年間で大きく減少した。市場調査バーンスタインによると、1980年の1人当たり10.38リットルに対し、17年は8.65リットルだった。これを受けて業界大手はビジネスの多様化を進めており、IWSRによると、無/低アルコール飲料の米市場シェアは18~22年に32.1%まで伸び、それ以前の5年間の3倍に達すると見込まれる。
■品ぞろえ多様に
ビール大手のモルソン・クアーズは、主力の「クアーズ・ライト」ビールの販売低迷を受け、幅広い「醸造飲料」を提供しようとコロラド州のバクティ・チャイ・ティー(Bhakti Chai Tea)に資本参加したほか、カリフォルニア州拠点のコンブチャ・メーカーを買収した。
「バドワイザー」ビールの製造元アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)は、18年にノンアルコール飲料責任者という新しい役職を設け、エナジードリンクやノンアルコール・ビールを含むノンアルコール飲料はすでに総販売量の10%超を占めている。17年にはオーガニック・エナジードリンクメーカーのハイボール(Hiball)を買収。最近はオハイオ州コロンバスとミシガン州デトロイトで主力ビールのノンアルコール版「バドワイザー・プロヒビション」の販売も始めた。
市場調査のユーロモニターは、米国のノンアルコール・ビール消費量は向こう5年間に9.3%増加すると予想している。
ABインベブはほかにも、オレゴン、カリフォルニア、ニューヨーク各州のクラフトスタイル・ブリュワリーで、ココナツウォーター、抹茶飲料、メキシコのフルーツ飲料アグアフレスカなどを試験販売しており、1月は新しい炭酸水ブランド「Bon&Viv」の発売を計画している。
一方、ウォッカ飲料「スマーノフ」の製造元ディアジオは、18年に「ケテルワン(Ketel One)」ウォッカの低アルコール版を発売。従来のウォッカよりカロリーが25%少なく、アルコール度は普通の「ケテルワン」の40%に対し30%となっている。また、16年に資本参加したロンドン拠点の酒造会社「シードリップ (Seedlip)」の事業拡張も支援している。
シードリップは、数種類のハーブを蒸留した高級ノンアルコール・スピリッツ飲料で、トニックウォーター(味付け炭酸水)で割って飲むほかカクテルにも使える。3種類あり、1本30ドル以上する。同社は今春、食事と一緒にノンアルコール飲料を飲みたい人のために新しいノンアルコール飲料「エイコーン・アペリティフス(AEcorn Aperitifs)」の発売を予定している。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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