自動車のサイバーセキュリティ懸念が深刻化しており、今後は攻撃の規模が急拡大する恐れがある。
■業界リスク、23年に240億ドル
オートノマス・ビークル・テクノロジーによると、プライスウォータハウスクーパースの調査報告書「2017 Strategy & Digital Auto Report」は、欧州、中 国、米国で使われるコネクテッドカー(インターネット常時接続車)の数は2025年までに4億7000万台を超えると予想。
また、イスラエルのアップストリーム・セキュリティが最近発表した調査報告 「Global Automotive Cybersecurity Report 2019」は、自動車業界が深刻化するサイバーセキュリティ問題への対応努力を強化しないと23年までに240億ドルの被害が発生する可能性があると警告している。
アップストリームによると、クラウド電算システム、通信ネットワーク、車載セキュリティ機能などのサイバー攻撃被害は、10~18年に7倍増え、18年は過去最多の60件を記録した。アップストリームの報告書をまとめたオデット・ヤーコニ・マーケティング責任者によると、新しいサービスやコネクテッド機能が登場するたびに、新しい攻撃経路が生まれる。攻撃はどこからでもできてドライバーと搭乗者の両方が危険にさらされる。問題は、重要な車両安全システムやデータセンターのバックエンド・サーバーへの攻撃、カーシェアリング(車の共用)における個人情報の盗難、プライバシー問題など幅広い範囲に及び、リスクは甚大で、自動車メーカーはたった1回のサイバー攻撃で11億ドルの損害を受ける恐れがある。
■42%はバックエンドサーバー
自動車業界は近年ますますスマートモビリティを中心とする仕組みに変わりつつあり、コネクテッドカー、自動運転車、ライドシェア・サービス、あらゆる種類の輸送が積み重なることで複雑さとリスクが驚くべき速さで加速している。アップストリーム報告書は、現実に起きた問題に基づくデータを使って、リスクの対象、主な関係者の自己防衛方法、今年の新しいトレンドなどに関する洞察を提供している。以下はその概要。
・明らかな標的は自動車メーカーだが、ティア1サプライヤー、大量の車両を所有・管理するフリート業者、テレマティクスサービス業者、カーシェアリング会社、公共および民間の輸送業者もますます大きな脅威に直面している。
・18年は、スマートモビリティ分野では初めて犯罪者によるサイバー攻撃(ブラックハットハッカー)が、ホワイトハット(セキュリティのテストや評価のためにシステムに侵入するセキュリティ専門家)による侵入件数を上回った。
・自動車関連サイバーセキュリティ問題の42%はバックエンド・アプリケーション・サーバーに関係している。
・カーシェアリングやドライバーの交代によって2つの新しいサイバー攻撃が発生しており、不正やデータのプライバシーに大きな影響を及ぼしている。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
米有料テレビ・サービス、第1四半期に過去最悪の231万世帯減 ~ さらに深刻化する加入者流出
-
人工知能、核戦争に匹敵する人類滅亡の危機につながる恐れ ~ 技術業界幹部ら、公開共同声明で警告
-
2023年5月30日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
従業員らの隠れたチャットGPT利用がCISOらの悩みのタネに ~ 専門家ら、二つの対策を提示
-
米食品業界、スナック菓子ブームで活況
-
2023年5月23日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
オープンAI、モバイル・チャットGPTを発表 ~ iOS版はすでに利用可能、米国外版はこれから
-
2023年5月21日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
サービスナウ、エヌビディアと提携 ~ 特定業務に特化した法人向け生成人工知能を独自開発へ
-
2023年5月18日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
米国の補助金制度を理由に米国への生産拠点移転をねらうドイツ企業が急増 ~ 産業用電気代高騰や北米内互恵措置の適用に期待
-
米国の技術人材雇用機会、シリコン・バレーから東海岸に移行 ~ ワシントンDCやニューヨーク市、非技術業界で需要増
-
オレオレ詐欺、音声クローニングで巧妙化 ~ なりすましが見破りにくくなり被害が増える可能性
-
グーグル検索、新たな旅行関連機能群を提供 ~ 最安値の航空便を予約できる「価格保証」ツールを含む三つを発表