モバイル・プラットフォーム競争が激化

 バルセロナで開催されていた2013年の携帯通信技術見本市モバイル・ワールド・コングレス(MWC=Mobile World Congress)では、アップル(Apple)のiOSとグーグル(Google)のアンドロイド(Android)というスマートフォン2大OSに挑戦する動きが目立ったことが今回の特徴となったと言える。

 また、今年の場合、過去数年間にわたり巨大なアンドロイド向けブースを構えていたグーグルが出展しなかったことも特徴だ。

 かたや、アップルはこれまで同様に、自社のイベント以外に参加しないという方針を貫いている。

 スマートフォン用OSの2大企業が不在でも、会場にはアイフォーン(iPhone)向けアクセサリーやアンドロイドOS搭載ロボットといった両社関連の製品が無数に展示された。

 一方、マイクロソフト(Microsoft)は、デジタル大型広告板のスポンサーとして静かな存在感を示し、ウィンドウズ・フォンOSの宣伝をノキア(Nokia)に任せた感があった。

 端末メーカーに目を移すと、韓国のサムスン電子(Samsung)とLG電子、そして台湾のHTCは、アンドロイドがオープン・ソースである点を利用し、コードを大幅に書き換えることで、独自の機能を全面に押し出した最新機種を発表。

 そういった意味では、アンドロイドの存在感が強いと言えども、端末メーカーごとに分化されていると言える。

 PCマガジンによると、大手各社のそういった動きに引けを取らずに関心を集めたのが、ブラウザーのファイアーフォックス(Firefox)だ。ファイアーフォックスの開発元である非営利団体のモジラ財団(Mozilla Foundation)は、スマートフォン用の新OSとしてファイアーフォックスOSを発表。

 モジラによると、18社の携帯電話サービス会社(キャリヤー)をはじめ、ZTE、アルカテル、LGといった電話機メーカーがファイアーフォックスOSに対応する方針を打ち出している。

 そのほか、日本のNTTドコモと仏オレンジは、ティーズン(Tizen)というOSを2013年後半に商業化する方針を打ち出した。ティーズンは、インテル(Intel)とサムスンが推進するオープン・ソース・プロジェクトとして開発された。その推進団体はティーズン2.0を最近発表している。

 ティーズンを搭載した機種はまだ存在しないが、サムスンと中国ファーウェイ(Huawei)が開発を進めている可能性はある。

 一方、キャノニコ(Canonical)は、ユバントゥ(Ubuntu)OSを披露した。同OSは、リナックス(Linux)を土台にしており、HTML5基盤のウェブ・アプリケーションにも対応する。

 ユバントゥOSをサポートする企業はまだ名乗り出ていないが、2014年のMWCを賑わすことになるという見方もある。

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