サーバーの液体冷却で大幅節電

 コンピュータ・サーバーに液体冷却技術を使用することで冷却目的の光熱費を80〜97%削減できることが、最近の研究で報告された。

 エネルギー・マネジャー・トゥデイ誌によると、同研究は、サーバーの設計と構築を手がける英アイセオトープ(Iceotope)社が手がけたもので、リーズ大学のクラウド環境を使用して行われた。

 アイセオトープでは、サーバーのすべてのコンポーネントを完全に液体に浸す設計を開発している。同社は、リーズ大学機械工学部のジョン・サマーズ博士が率いる研究班と協力し、過去2年間に試作モデルで実験を重ね、最近、初の製品モデルが実装された。

 冷却液には、スリーエムが開発した非可燃性の高機能液体「ノヴェック(Novec)」が使われている。この液体は電気伝導性がないため、電子部品と直接接触させることができる。

 同システムでは、冷却液をサーバーのすべてのコンポーネントに循環させるための複雑なポンプが必要ない。サーバーを置いたキャビネットの下に低電力のポンプ1個を設置して、二次冷却液となる水を汲み上げてサーバーの上からかけるだけで、あとは重力で48個のモジュールすべてに冷却液が行き渡る仕組みだ。

 二次冷却液はキャビネット内で滞留され、外部を循環する三次および最終冷却液に熱を移行させる。三次冷却液には、雨水や川の水など浄化されていない水を使用して、環境への影響を縮小できる。最終的に排出される使用水は、温度が最高50℃に達し、暖房用に流用も可能。

 アイセオトープのシステムでは、最大20キロワットのサーバー使用で生じる熱を吸収するのに、わずか80ワットの電力しか消費しない。また、温度湿度管理や空気清浄化の行き届いたコンピュータ室も必要としない。

 米国では2012年12月、国防総省が主要データ・センター1ヵ所を液体冷却に変えるための200万ドルのプロジェクトに着手している。この契約はエイステック(Asetek)が受注した。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る