建設工事の報告業務を支援するデータ技術を開発する新興企業ビルドッツ(Buildots)は先日、資金調達ラウンドで総額1600万ドルを集め、新たなデジタル化を建設現場にもたらすソリューション群の世界展開を本格化させる計画を明らかにした。
無数の作業が同時進行する大規模の建設事業では、管理者は多くの場合、現在でも手作業で記録をつけている。各作業の進捗状況を把握して調整を図ることは容易ではなく、そのせいで大規模事業の98%では30%以上の予算超過、また77%が40%以上の納期遅れを招いている、と業界専門家らは見積もっている。
ベンチャービート誌によると、ビルドッツは、建設現場のそういった課題をデジタル・ソリューション群によって解消することを目指して2018年に設立された。共同設立者らはいずれもイスラエルの退役軍人。本社はイスラエルと英国に置かれている。
ビルドッツの技術は、利用者たちから提供された日程や計画、設計図といった各種の情報を、アマゾン・ウェブ・サービシズ(Amazon Web Services=AWS)でホストするエンジンに取り込み、専用のプログラムを作成する。また、現場作業員が使うヘルメットに取りつけるカメラを提供し、それがとらえた映像をアルゴリズムで解析して作業の進捗状況を理解できるようにする。
同アルゴリズムは、ヘルメット着用者の位置を把握するため、点検しなかった領域があれば、次の検査時に巡回するよう指示できる。同アルゴリズムは、大量のデータですでに訓練済みだが、個別の事業の開始時には数週間にわたって人による分析結果によって補完して、精度を高める。
カメラでとらえる映像は、プライバシーを保護するために作業員の姿を自動的にぼやかすよう設計されている。
現場作業班たちには、それぞれの持ち場に関する報告書や情報がオンライン・ダッシュボードや電子メール、SMS(short message service)を介して提供される。
近年、建設現場向け効率化技術を開発する新興企業らの競争は激化しつつある。同社の競合社には、ホロビルダー(HoloBuilder)やオープンスペイス(OpenSpace)がある。両社ともビルドッツと同様に、カメラの映像を人工知能で解析して、現場状況を報告する技術を提供している。
ビルドッツは、欧州の大手建設会社10社のうち2社、およびイスラエルの最大手を顧客にしている。同社は、今後1年以内に米国でも製品を提供する計画だ。
【venturebeat.com/2020/07/30/buildots-raises-16-million-to-automate-construction-site-reporting-with-ai/】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年3月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
少しの「つながる車」情報で信号機のタイミング調整
-
2024年3月14日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
自動車メーカーにもDV防止法適用を~FCC委員長が提案
-
2024年3月11日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
クレジット・カード大手ビザのオンライン不正防止策 ~ 人工知能技術の活用を強化、リスク管理製品群を運用
-
北米ロボット受注が一段落~23年、景気減速で6年ぶり減少
-
2024年3月4日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
米国で電動モデルの人気上昇~CRの優秀車10選に7種
-
IT業界リーダーら、サンフランシスコに回帰
-
2024年2月26日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ウェイモ、加州でAV事業拡大を計画~議員は阻止に向け法案提出
-
2024年2月22日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
マグナ、最新のeドライブと飲酒運転防止技術を発表
-
2024年2月19日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
オープンAI、チャットGPTをカスタマイズできるサービスを開始 ~ 特定目的用チャットボットを個人事業でも構築可能に
-
小売現場の労働安全性が重要な課題に ~ 緊急事態の対応手段は依然として原始的