マイクロソフト(Microsoft)が北京バイトダンス(ByteDance=北京字節跳動科技)傘下のティックトック(Tiktok)を買収するというのは、やや不自然に思われる。マイクロソフトは、法人向け事業を中核と位置づけてきてが、途中からアップルを意識して消費者市場に参入し始めた。マイクロソフトは、多くの分野でいくつもの製品やサービ スを投入してきたが、ことごとく失敗している。かろうじてエックスボックスだけが成功した。そのマイクロソフトが、完全なる消費者向け事業であるティックトックの買収になぜ積極的なのか。ヴァージ誌によると、その答えとして下記5つが考えられる。
1.マイクロソフトは、ティックトックの英語圏事業(米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)を買収することで、ユーチューブとフェイスブックに対抗できる大きなソーシャル・メディアを獲得できる。消費者市場に弱いマイクロソフトにとって、それは大きな魅力だ。
アルファベットにはユーチューブがあり、フェイスブックにはフェイスブックとインスタグラムがある。そのため、アルファベット(あるいはグーグル)かフェイスブックがティックトックを買収しようとすると、独占禁止法の審査対象になる可能性が高い。その点、マイクロソフトにはそれを心配する材料がない。
2.カギとなるのは、ティックトックの利用者データだ。マイクロソフトは、それらの英語圏4ヵ国のティックトック利用者データにアクセスできるようになると、今後のソフトウェア開発やプラットフォーム構築にともなう重要な材料を入手できる。
マイクロソフトは、エックスボックス・ライブの利用者データを長年にわたって活用し、各種のソフトウェアやハードウェアの開発に役立ててきた。消費者の嗜好や行動様式、市場動向、傾向に関する理解を深めるために、膨大な量の利用者データの解析は貴重な洞察を導き出すのに非常に有用だ。
3.そのほか、マイクロソフトは、10代から20代の利用者に圧倒的に使われているティックトックの利用者データを使えるようになることで、次世代の消費者に関する消費行動を学ぶ材料を大量に取得できる。
若い世代がiOSやアンドロイドの端末に慣れきったこの13年間ほど、アップルとグーグルは、次世代の消費者に関する情報をつねにつかんできた。法人市場に強いマイクロソフトの弱点もそこにある。ティックトック買収は、次なる主要消費者になる世代の情報を集める機会をマイクロソフトにもたらす。
4.マイクロソフトはさらに、ティックトックを買収すればサーフェスやエックスボックス、そのほかの機器やサービスをティックトック利用者らに宣伝する巨大プラットフォームを獲得できる。
5.それに加えて、ティックトックは拡張現実(AR)技術の応用も研究してきたことから、マイクロソフトも市場開拓をねらうAR事業との融合によって、ウィンドウズ基盤の複合現実(mixed reality=MR)やホロレンズ(HoloLens)、そのほかの先進的機能の実現と普及を加速させるという相乗効果を期待できる。
【theverge.com/2020/8/3/21352309/microsoft-tiktok-acquisition-deal-why-us-countries-data】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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