ロイター通信は10日、世界の自動車メーカーが2030年までに電気自動車(EV)とEV用電池関連で計画している投資の総額は5150億ドルに上るという分析結果を伝えた。各社とも投資を拡大し、内燃エンジン車からEVへの消費者の買い替え促進と、厳しくなる脱炭素化の目標達成を目指す構えだ。
ロイターは約3年前に同様の分析を行い、EVや関連技術への投資予定額は3000億ドルと計算した。しかしその後、複数の都市や国で化石燃料車の規制が強化され、各社に一層の投資を迫る圧力が高まった。その結果、最新の分析では今後5~10年間でEVの開発と製造、内燃エンジンからの移行に投じられる額を5150億ドルと推定している。
ただ、自動車メーカー幹部や業界アナリストは、大規模な購入奨励策や充電インフラの拡充がなければ、消費者のEV需要はメーカーの意欲的な目標を大幅に下回る恐れがあるとの懸念を捨てていない。
オートフォーキャスト・ソリューションズの幹部ブライアン・マキシム氏は、車両電化への投資意欲の高まりを冷戦に例えながら「一部のメーカーがEV計画を発表すれば、他社も乗り遅れないように自社の計画を発表する」と指摘。さらに「多くのメーカーは、消費者が受け入れるかどうか分からず、(何年も)利益がゼロか最小限にとどまる種類の車に対して大量生産の計画を立てることになる」と予測する。
ロイターは今回、各社の発表資料や投資家向け説明会の資料、規制当局への申請書類を基にデータをまとめた。
一方、違った予想をする調査結果もある。コンサルティング会社アリックスパートナーズは6月、EVへの投資が25年までに3300億ドルに達するとの予想を発表した。世界の自動車メーカーが20年に設備投資や研究開発に投じた金額は、合計2250億ドルだったという。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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