メタヴァースの仮想不動産への投資が活発化している。CNBCによると、メタヴァース不動産は過去2~3ヵ月のあいだに最大500%も高騰した事例もあるほか、暗号資産運用会社グレイスケイル(Grayscale)の最近の調査報告によると、デジタル世界は近い将来に1兆ドル規模の事業機会に成長する可能性があると予想される。
▽「ソーシャル・メディアの次世代版」
メタヴァース(metaverse)とは、インターネット上に構築された三次元の仮想空間で、複数の利用者らがそれぞれの分身(アヴァター)を使って自由に行動できる仮想社会の世界。メタヴァース内では、利用者が自由に出入りでき、仮想通貨を使って仮想品や仮想サービスを売買し、また、参加者らが創作したデジタル・ゲームやそのほかのデジタル・コンテントを消費することも可能だ。
「メタヴァースは、ソーシャル・メディアの次世代版となる」と、トロント拠点のトークンス・ドット・コム(Tokens.com)のアンドリュー・キーゲルCEOは話す。
同社は、メタヴァース不動産と非代替トークン(non-fungible token=NFT)に投資している。NFTとは、デジタル・プラットフォームでつくられる文化的現象や作品の所有権と真正性をブロックチェーン技術によって裏付けた創造物およびその形態。
▽ディーセントランドやサンドボックスの仮想土地に数百万ドル
キーゲル氏は最近、人気のあるメタヴァース「ディーセントランド(Decentraland)」にある土地に250万ドル近くを投資した。その仮想土地の価値は「ここ2~3ヵ月で400%から500%上昇した」と同氏は話す。
一方、ジャニーン・ヨリオ氏が率いる仮想不動産開発会社リパブリック・レルム(Republic Realm)は、別の人気メタヴァース「サンドボックス(Sandbox)」にある仮想土地の区画に430万ドルを投資した。
リパブリック・レルムは、2021年に100件の仮想個人島をそれぞれ1万5000ドルで販売した。「こんにち、それらはそれぞれ約30万ドル販売されている」「その額は偶然にも米国の平均的住宅価格と同じだ」とヨリオ氏は話した。
そのほか、有名ラッパーのスヌープ・ドッグがサンドボックス内の仮想土地区画に仮想豪邸を建築中で、その隣人になりたいだけのために45万ドルの仮想土地代を払った人もいる。
▽商機はすでに生まれているが持続性と安定性は不透明
ただ、メタヴァース不動産への投資にはリスクがともなうのはいうまでもない。「私やあなたが何を信じるかはまったく関係ない」「大事なのは未来がどう動くかだ」とマイアミ拠点の不動産仲介業者オーレン・アレギザンダー氏は指摘する。
昨今では、仮想不動産がブランド会社らの宣伝や販促の手法として新たな消費体験を提供できるという見方から、次世代の商機として注目されるようになった。その一例はナイキによるNFT運動靴メーカーの買収だ。そのほか、グッチはメタヴァースのロブロックス(Roblox)と提携し、コカ・コーラはタフィ(Tafi)と、バレンシアガはフォートナイト(Fortnite)と提携し、さらにルイ・ヴィトンもメタヴァースでの商品宣伝に着手している。
一部の投資会社らはそこに目をつけて仮想土地を買うようになったが、その継続性や安定性については裏付けがまだないのが実情だ。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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