米国では現在、あらゆる業界のサプライチェーン(供給網)で物資を詰め込んだコンテナを運ぶためのトレーラーが不足しており、そのためにトラック運転手が余計な労力と時間を強いられている。
■シャーシ確保に東奔西走
ウォールストリート・ジャーナルによると、トラック運送大手NFIインダストリーズの子会社カリフォルニア・カーテイジ(California Cartage)で独立オーナー・オペレーターとして働くマテオ・カレラ氏(シカゴ在住)の場合、9月末の金曜未明に美術工芸材料小売り大手「マイケルズ」向けのコンテナを積む仕事があったが、その前にシャーシと呼ばれるトレーラーを確保するため、空のコンテナを積んだシャーシをけん引して鉄道の貨物基地に向かい、コンテナを引き取ってもらう必要があった。午前2時に起きて3時半に家を出たものの、この作業で約2時間の余分な作業を強いられた。
毎日大量の貨物が集まる国内で最も重要かつ混雑した輸送拠点のシカゴ地区では、米経済を揺るがすサプライチェーン(供給網)の混乱のため、コンテナをトレーラーに乗せてけん引するのに何時間もかけて何十キロもの余分な距離を走ることが常態となっている。貨物のほとんどは、アジアからコンテナ船で輸送され、過去2年分の輸入貨物が山積みになった西海岸の港を経由し、延長1マイルの貨物列車に二段重ねに積まれたコンテナでここに運ばれている。
■内陸部の渋滞は継続
貨物の急増は、新型コロナウイルスのパンデミック初期に始まった日用品の買い占めが引き金となった。ウォルマートやターゲットなどの小売業者は店頭に商品を並べようと躍起になったが、2022年に入ると消費者の支出が旅行やその他のサービスに移り、港での貨物流通量も減り始めたため、混雑は解消された。しかし家具、衣料、スポーツ用品など、これまでに殺到した消費財はまだ供給網の中にとどまっており、内陸部のボトルネック(局所渋滞)はまだ続いている。
シカゴ地域に密集する倉庫や貨物集積地の渋滞は、商品の流れと貨物経済を支えるトラック、コンテナ、トレーラーの動きのバランスを乱している。カレラ氏のようなトラック運転手にとって、この混雑は起床時間の繰り上げ、鉄道基地やコンテナ集積所での長い待ち時間、そしてあとどれくらいトラックを運転できるのか何度も時計を見ながら計算することを意味する。
NFIのような運送業者の多くは、貨物輸送にリースのシャーシを使っており、シカゴでは複数のシャーシ所有会社が計数万台のシャーシを運用している。しかし、TRACインターモーダルのバル・ノエル最高執行責任者(COO)によると、貨物集積地や倉庫の混雑によってシャーシは引き取りや積み下ろしを持つコンテナを乗せたまま通常の2~3倍の時間放置されている状態だという。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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