インターネット通販最大手アマゾンは、国内の個人向け荷物配達量が運輸大手のUPSとフェデックス(FedEx)を上回り、今や宅配事業の米最大手になっている。
■「空想」が数年で現実に
ウォールストリート・ジャーナルによると、アマゾンは2020年に国内宅配量でフェデックスを抜き、22年にはUPSも抜いたことが同社の社内データおよび関係者の話から分かった。23年は2社との差をさらに広げる勢いだという。あらゆる小包の取扱量では依然として米国郵政公社(USPS)が最大手で、3社が発送した荷物も大量に扱っている。
アマゾンは、13年にはUPSとフェデックスの大手顧客だったが、その突出した成長とフェデックス、UPSそれぞれの戦略転換が相まって力関係が変化した。フェデックスは18年にアマゾン向けの陸送サービスを取りやめ、UPSは近年、ヘルスケアや中小企業など利益率の高い小包の取り扱いを増やし、個人あての配達量を減らしている。
アマゾンは23年、11月下旬の感謝祭前の時点ですでに国内で48億個を超える荷物を配達し、通年は約59億個(前年は52億個)に上る見通しとなっている。これに対しUPSは、国内小包取扱量は1~9月で約34億個、通年で前年の53億個を上回る可能性は低いと見ている。フェデックスは23年5月期のエクスプレス(航空貨物)とグラウンド(陸送)の国内取扱量が約30億5000万個。アマゾンの数字は最初から最後まで自社で配送した荷物だけだが、UPSとフェデックスは郵便局に最終配送を委託した分も含まれている。
16年にフェデックスCEOだったフレッド・スミス氏は、アマゾンがフェデックスの脅威になるという考えを「空想的」と切り捨て「あらゆる観点から、近い将来の主要なeコマース配送業者はUPS、USPS、そしてフェデックスだ」と話していた。アマゾンは当時、UPSとフェデックスに大きく引き離された業界3位だったが、その後数年で順位を上げ、世界最大級の物流ネットワークを構築した。
■フランチャイズ起業支援と施設の増強
アマゾンは18年、起業を考える人がアマゾンの荷物を配送するフランチャイズを1万ドルから始められるプログラムを開始した。このプログラムは、国内に約20万人のドライバーを抱え、自社で毎日配達できる荷物の数を急速に増やすのに役立った。また新型コロナウイルス禍の初期には、倉庫や仕分けセンターなどの物流施設を百カ所単位で新設し、パンデミック(感染大流行)の始まりから21年後半までにネットワークの規模をほぼ倍増させた。
同社は、商品をより早く客に届け、収益性を高めるため物流網の地域化で国内荷物の輸送距離を短縮している。ブライアン・オルサフスキー最高財務責任者(CFO)は「こうした配送スピードの向上は成長の重要な原動力であり、プライム(特典制度)会員による購入頻度の増加につながっている」と話している。
同社の広報担当者は、配送の進歩はルート・フランチャイズ・プログラムによるところが大きいと述べており、今後も同社は他の配送パートナーや輸送業者と協力し、輸送能力をさらに増強するという。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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