IBMが掲げる未来のスマート建物 〜安全で健康的な環境作りを目指して

 IBMが「スマーター・プラネット(Smarter Planet)」戦略の一環として進めている「スマーター・ビルディングズ(Smarter Buildings)」構想のデイブ・バートレット統括者は、持続可能性や環境配慮に留まらないスマート建物の意義を強調し、同分野における戦略の方向性を示した。

 グリーンビズ誌によると、スマート建物とは、高い信頼性と持続可能性を実現しながら最適の環境と機能を入居者に提供するものだとバートレット氏は説明する。

 「建物が安全で生産的な職場を維持しないのであれば、技術をどれほど詰め込んでも意味がない。その建物や環境のなかにいる人々が生活水準、生産性、健康、安全性の向上を感じられなければ、まったく意味がない」と、同氏は語る。

 同氏は、建物を生きる物体に喩えている。呼吸器を持ち、人々に健康的な環境をもたらすために存在していると同氏は表現する。

 「有機体のように酸素と二酸化炭素のレベルを認識すれば、健康的な環境を維持するのに必要な時に空気を交換するだろう。空気をあまりにも頻繁に交換すれば、エネルギーを浪費する。呼吸を一生懸命しすぎて休息できないのと同じような状態だ」「また、十分に空気交換しなければ、健康的とは言えない環境をつくることになる」。

 同氏は、そういったスマート建物構想を実現するうえで重要なカギを握るのがデータ活用だと強調。データを分析して理解し、深いレベルの洞察を確立することに大きな事業機会がある、とIBMでは考えている。

 「建物の声に総合的に耳を傾ければ、エネルギーや水道を浪費している現在のあり方を正すことができる」と同氏は話す。

 同氏によると、技術だけでそれを達成することはできず、人々がその理念を理解して技術を適切に活用する方法が重要になる。建物と人間のかかわり方を抜本的に変化させる技術は登場しつつあるが、その変化が実現するには大々的な基本的枠組みの転換が必要だと同氏は述べた。

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