学生ローンが住宅市場の脅威に〜新規購入が激減

 学生ローン負債の拡大が、住宅の新規購入者の激減を招いている。

 シアトル・タイムズによると、中古住宅市場では伝統的に、初めて家を買う人が40%を占めていた。しかし全米不動産協会(NAR)の統計をみると、ことし4月は29%、5月は28%となっており、前年の5月(34%)からも減少している。

 このため、新規購入者向けの安い物件が売りに出され、前所有者はそれを元手に大きな家を買うという市場の原理が行き詰まる恐れが指摘されている。

 政策研究団体ワン・ウィスコンシン・インスティチュートがこのほど発表した調査結果によると、学生ローン負債を抱える人の持ち家率は、負債がない人より36%低い。年収5万〜7万5000ドルの人でも、学生ローンを返済している人の持ち家率は負債がない人より28%低いという。

 ワン・ウィスコンシンによると、学生ローンの完済には平均21年かかるため、住宅市場への影響は長期にわたる。さらに、学生ローンは債務不履行率が約13.4%と高い。住宅購入者のクレジット・スコア(FICO)は平均で760を超えるが、債務不履行になればスコアが低下し、住宅ローンの承認が難しくなる。

 学生ローンの負債総額は、現在1兆1000億ドルを超えている。最近の新卒者の負債額は平均で2万7000ドルを下回っているものの、全体の13%は5万4000ドルから10万ドルの負債を抱えていると推定される。

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